サライとは
昔、シルクロードを旅するキャラバン隊に、魑魅魍魎が跋扈して危険極まりない「夜間の安全」を提供する施設のことを、トルコ語およびペルシア語でサライと呼んだ。
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2012年の秋、トルコでその一つを見学する機会があった。
外から見ると外壁の高さは10メートル以上あるだろう。
四方を分厚い石の壁で囲んだ、文字通りの城塞である。
内部は、壁に沿って商人の寝室や倉庫として使われた部屋がいくつもある。
中庭は野球ができそうなほど広かった。
扉は日暮れと共に閉まる。
一旦閉まったら夜明けまで開くことは絶対にない。
それが「安全保障」なのだ。
日中の焼けつくような大気、生では飲めない水、たかる物乞い、襲い来る夜盗。
せめて夜くらいはこういったものから逃れて、安心して疲れを取りたい。
現代に生きる我々も、熱帯下の発展途上国に行けば、欧米資本のホテルに安全を委ねることが多い。
ホテルは現代版サライ
どんなにお国柄が異なっていても、ホテルの中の環境は同一性が保たれている。
ホテル内では様々なサービスの提供をロビー、食堂、客室で受けることになるが、チェックインに始まり、チェックアウトで終わるルールや手続きはほぼ同じであるから、初めて訪れる国で、初めて訪れるホテルに入っても、「いつもの場所に帰ってきた。」という安心感を得ることができる。
サライはホテルの原型なのであろう。
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