【超ネタバレ】ここが変だよエンドゲーム2・アイアンマンMk.85について

【超ネタバレ】ここが変だよエンドゲーム2・アイアンマンMk.85について

ネタバレご注意

本稿は『アベンジャーズ:エンドゲーム』を大満足(二回目鑑賞以降)して見た筆者が、それでも映画館からの帰りに「よく考えるとちょっと変じゃね?」と思ったポイントを整理して記事にしたものです。この映画を批判する意図は全くありません。また本稿は『アベンジャーズ:エンドゲーム』について、細かいことから核心部分についてまでこれでもかってくらいネタバレしています。本稿をお読み頂けるのであれば、当然ながら同作鑑賞後を推奨いたします。

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「私はアイアンマンだ。」

2008年から11年間、22本の映画をかけて紡いできたマーベル・シネマティック・ユニバース(以下MCU)の第1幕がとうとう終わってしまいます。正確には今夏公開される『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』をもって、製作側が提示している区切りであるところのフェイズ3および「インフィニティサーガ」が完結するとされていますが、全宇宙を揺るがしたインフィニティストーンを巡る戦いは本作『アベンジャーズ:エンドゲーム』でひとます完全決着しました。

MCU第一作『アイアンマン』の本編最後の台詞「私はアイアンマンだ。」で始まり、『エンドゲーム』において同じ台詞で戦いを終わらせる演出は、私見ではMCUの「インフィニティサーガ」とはつまりアイアンマンことトニー・スターク(ロバート・ダウニーJr)の物語であったということを示すものでありました。

エゴの塊で、ヒーロー活動を始めてからもその自意識の強さ故に様々なトラブルの元凶となってしまっていた男が、数々の戦いを経て、最後には普通の人間と同じように失うものを抱えながら、それでも自らの命がかかった究極の選択の場面で、他者を救う選択肢を選びとり真のヒーローになってみせた。「私はアイアンマンだ。」サノスの発言と対をなすように放たれたこの台詞は、これまでシリーズを鑑賞してきた観客の感情を最大限に揺さぶり、集大成として見事な結実を感じさせてみせた、素晴らしい演出でした。

筆者も熱烈なアイアンマンの支持者の一人として、初回鑑賞時はその喪失感の大きさに呆然としてしまいましたが、複数回鑑賞を終えた今となってはアイアンマンというキャラクターに最大限の敬意を払った終わり方であったと納得しています。あくまでストーリー面では。

というのもですね、筆者のもう一つの顔。アイアンマンスーツ研究家(自称)として、本作『アベンジャーズ:エンドゲーム』にはやっぱりどう考えても解せない点がございました。

それは本作に登場する新アイアンマンスーツ、Mark85についてです。

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隠し球は意外な方向から

映画公開前に玩具メーカーによって登場が明らかになっていたMark85は、結局のところ本作にてトニー・スタークが駆る唯一のアイアンマンスーツとなりました。

筆者の鑑賞前の予想では、ロバート・ダウニーJrが演じるアイアンマンの最後の登場作品となる『アベンジャーズ:エンドゲーム』では、一見かなりシンプルに見えるこのスーツだけではなく、『エイジ・オブ・ウルトロン』の時のMark44ハルクバスターのような、シリーズの集大成にふさわしい観客の度肝を抜くような隠し球があるに違いないと信じていました。

ところが蓋を開けてみると、アイアンマンスーツという括りで言えば隠し球がないわけではなかったのですが、やや斜め上からの方向というか、言っちゃえば隠し球はペッパー・ポッツの専用スーツだったわけで、時勢におもねった、しかもちゃんと伏線を張った上での演出とはいえ、トニーこそ唯一のアイアンマンと思っている身からすると、いささか拍子抜けと言わざるを得ませんでした。

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解せないナンバリング

何が納得行かないってMark85という機体そのものが腑に落ちません。ナンバリングにして実に35タイプ、そして制作期間は劇中時間最多の5年間というスパンがあったにも拘らず、なぜMark85は、あんなにMark50に似ているのでしょうか。

鑑賞中目を皿のようにして観察したのですが、このMark85、容姿が似ていることもさることながら、その機能や搭載している武装も前作『アベンジャーズ:インフィニティーウォー』に登場したMark50から大きく変化していませんでした。一点だけ、背中部で展開させるヒトデ型のアタッチメント、ガンダムXでいうところのリフレクターユニットよろしく、ソーの雷撃をチャージしてビーム放出するシステムだけは新機軸でしたが、サノスに対して決定的な効果を期待できるものではなく、その他はユニビームといい、シールドといい既にMark50までで実装されていたものばかりのように見えました

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確かに「究極のアイアンマンスーツ」と称される、ブリーディングエッジアーマーことMark50は優秀な機体です。前作『インフィニティーウォー』惑星タイタンでの戦いにおいて、仲間たちが次々に倒れていく中、4つまで石を揃えたインフィニティガントレットを装備したサノス相手に、単独で渡り合ってみせ、ストーンのパワーさえなければ、単独で制圧できていたのではないかという程の活躍を見せました。文字通りMark50は、考え得る最高の技術を全て注ぎ込んだ究極の装備であったため、マイナーチェンジ程度しか進化の余地が無かったという考え方はできるかもしれません。

しかし、アイアンマンスーツの開発担当者は最終的に人類未踏の夢タイムマシンのロジックまで完成してみせた天才トニー・スタークその人です。その彼が5年間という膨大な時間を費やしてマイナーチェンジしか出来なかったはずはないと思いませんか?5年間あればアップル社のiphoneだって6から最新のXSになりますし、MCUの劇中時間で言うならば、『アイアンマン3』に登場したMark42と『インフィニティーウォー』のMark50までの間がちょうど5年間くらいです。2つのモデルの違い、Mark42に対してのMark50の優位性を考えれば、5年間という時間が開発者にとって決して短くはないことがお判り頂けると思います。

しかもですね、『エンドゲーム』内でのトニー・スタークは、兵器開発にとって何より肝要と思われる、対象の実戦データを持ち帰って来ている状態です。インフィニティーストーンの力だけは如何ともし難くても、そのパワーを使っていない時のサノスの膂力や俊敏性、格闘技術のパターンなどはフライデーのメモリーに入っている筈で、『シビルウォー:キャプテン・アメリカ』でキャップの体術パターンを見切ったように、同じ相手と再戦すれば優位に戦いを進めることが出来て然るべきです。ところが、『エンドゲーム』最終決戦、インフィニティガントレットがない状態のサノス相手に、ソーやキャップというアベンジャーズの最高戦力たちと肩を並べて戦って、3対1の状況で劣勢という戦果。全くもって腑に落ちません。

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キャプテン・マーベルによって宇宙の放浪から奇跡的に生還することとなったトニー・スタークは、サノスを相手にすることに心が折れてしまっていたのでしょうか?そうだとすると今度は、完成まであと少しというところまで進めていた時間旅行のロジックや、そもそも85という、間に34もの試作があるはずのナンバリングの説明が付かなくなります。

別記事でふれたように、このMark85という数字の由来は、おそらくは原案となった「モデル4」という型がコミックに初めて登場した「Ironman #85」という号数からのものです。とはいえそれは、コンセプト段階の裏設定に過ぎないはずで、劇中このナンバリングが言及されることはないとはいえ、85たる所以が劇中示されるものとばかり思っていました。

ここまでグダグダ書き連ねて来たこのスーツのナンバリングの話、何が一番問題か端的に申し上げます。それはですね、僕を含めた世界中の少ないないコレクターが、これまで10年超の長きに渡って、Mark1から50型近く集めてきたアイアンマンスーツのフィギュアコレクションを完璧にすることが出来なくなる、という点が最大の問題です。

思うに本作の監督、ルッソ兄弟は、映画監督としての手腕にもはや疑いはありませんが、前作『インフィニティーウォー』でMark49(もしくは48)をすっ飛ばしたように、アイアンマンスーツの型、そしてそのナンバリングには全く拘らない人たちだったのかもしれませんね。

玩具に興味がない人たちにとっては大した問題ではないかもしれませんが、前作『インフィニティーウォー』までは整然とナンバリングされていたアイアンマンのバリエーションが、ここに来てわちゃわちゃっと収拾がつかなくなってしまった感は否めず、筆者としては、後追いで構わないので、ペッパーの乗機を含めて、この件について納得が行くような、何らかの公式発表があることを願ってやみません。

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