【判った気になれる一般相対性理論その8】ブラックホールとは一体なにか~後編~

【判った気になれる一般相対性理論その8】ブラックホールとは一体なにか~後編~

事象の境界

とてつもなく重い天体、ブラックホールは「球体」をしている。

球の中心から表面までの半径を「シュバルトシルト半径」と呼ぶということは前編であつかったが、球体の表面は「事象の境界面」と称する。

この表面は光が外に向けて脱出できるかどうかの限界を表す。

つまり表面からの脱出速度がちょうど光速と同じ秒速30万kmとなるのだ。

哲学的なちょっとかっこいい響きを持つ「事象の境界」とは、そこを境にちょっとでも内側に入ってしまうと光も脱出できない。

この宇宙で最速の光が脱出できないということは、一切の情報が出てこないということだ。

ブラックホールの中で何が起きているか、知ることは不可能。

つまり「事象の境界」というわけだ。

白鳥座X-1

地球から比較的近いところにあるブラックホールは、白鳥座X-1が有名だ。

地球と同じ銀河系に属している。

白鳥座X-1には相棒ともいうべき恒星がいて、その天体と連星になっている。

白鳥座X-1はその超ド級の重力で、隣の恒星からエネルギーを吸い取っている。

吸い取ったエネルギーが、白鳥座X-1の周囲に身に纏うかのように円盤状に散布されており、そこからブラックホールの存在を間接的に証明するX線が放射されているのだ。

X線は円盤の中が高温になることによって発生する。

このX線の存在から、この地点にブラックホールがあると推定されたのである。

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ブラックホールになるには

宇宙にはいろいろな質量の恒星(太陽)があり、その寿命は大きさによって決まる。

大きすぎると早く燃焼してしまいその星は短命に終わる。

小さい場合は長生きだが、発する光は暗い。

我々の「太陽」は、まあちょうどいい方の大きさである。

輝きもSun-Sunとしているし。

大きすぎるスイカがあまりおいしくないように、何についても適正な大きさというものがあるようだ。

恒星の質量と、寿命の関係を簡単に表にまとめてみた。

ブラックホールになれるような恒星は、100万年程度しか生きられない。

100万年前と言ったら、もう人類らしきものが地球に登場しているくらい最近の話であるから、やっぱりブラックホールになんぞなれなくていいのかもしれない。

われらが太陽

恒星の内部では、自身の質量により圧縮が起こり、充分高温状態になると、質量の大部分を占める水素の原子核同士が核融合を起こす。

それでギラギラと輝いているのだ。

質量が大きすぎると極めて明るく輝くが、原料となる水素を短時間で使い果たしてしまう。

逆に小さすぎると核融合反応が起こらず輝くことはない。

太陽系にある木星は、恒星になれなかった出来損ないの天体というわけだ。

われらが太陽の現在の年齢は46億歳と言われている。

つまり燃料となる水素を半分使ったところだ。だからもうしばらくは安心だ。

太陽は燃料が乏しくなって寿命が近づくと温度が下がり、大きく膨らんで赤色矮星となる。ブラックホールにはならない。

赤色矮星となった時の大きさは、火星も木星も飲み込むほどになるので、地球上の水分は全て蒸発し切り、地表は灼熱の大地と化す。

だから人類はそうなる前に地球を脱出しなければならない。

宇宙探査や探検が必要な理由だ。

地球から太陽までの距離は1.5億kmであり、光なら片道の所要時間は8分である。

この距離を1天文単位といい、宇宙における距離を表す基準となっている。

太陽の半径は約70万kmもあり、地球の109倍。

質量は33万倍である。

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