【はやぶさ2と微小惑星リュウグウ】JAXA宇宙科学研究所相模原キャンパス・特別公開レポート

【はやぶさ2と微小惑星リュウグウ】JAXA宇宙科学研究所相模原キャンパス・特別公開レポート

JAXA相模原キャンパス特別公開

令和元年11月2日土曜日、年に一度だけ開催されているJAXA宇宙科学研究所相模原キャンパスの特別公開を見学した。

普段はのどかな郊外の住宅地といった風情の相模原キャンパス周辺だが、この日ばかりは老若男女の宇宙航空ファンが津波のようにおしかけて、キャンパス内はさながら炭団の如き黒山の人だかりであった。キャンパスの建物内は、例えるなら通勤時間帯の東急田園都市線、三軒茶屋から渋谷間ほどの混雑。(東急線ユーザー以外の皆様わかりにくい例えで申し訳ない。凄い混んでるという意味です。)

関係者の話では、この日の為にわざわざ九州から駆けつける学生もいるとのこと。微笑ましいことに小学生の姿も多く、更に頼もしいことに女子生徒がその半分くらいを占めていた。

宇宙開発の仕事は緻密さが要求されるし、いずれ交流を持つことになるかもしれない宇宙人の中には神経質な連中もいるだろうから、猪突猛進型やずぼらなタイプが多い男性よりも、女性の方が向いているかもしれない。

日本の宇宙科学の未来は明るいと感じた。

以下はこの見学で得たニワカ知識を元に書いている。

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はやぶさ2と微小惑星リュウグウ

日本国民の期待を一身に背負った探査機「はやぶさ2」は、2018年6月、直径1kmほどの微小惑星リュウグウに到着。以降、世界で初めてとなるミッションを次々にこなしてきた。

順調にいけば、戦国時代のような銃撃によって作ったクレーターより採取したリュウグウの新鮮なる欠片を封入せしめたお釜の如き形状のカプセルを、令和2年末頃に本体から切り離して、地球に帰還させることになっている。

そして本体の方は、また別の小惑星で新たなミッションを行うための旅路につく。お疲れ様です。

ちなみにはやぶさ2から切り離されたカプセルだが、2010年に小惑星イトカワの土埃を地球に届けたはやぶさ1のカプセルと同様に、オーストラリア政府の許諾の下、同国南オーストラリア州北西部にある世界最大の射撃演習場Royal Australian Air Force Woomera Test Rangeに着地する予定だ。

この演習場は日本の本州の半分もの広さがあるから、宇宙から多少的を外した物体が降ってきても住民を直撃する可能性は非常に低い、ということらしい。

JAXAの名誉のために付言すれば、小惑星の小さな的に正確に探査機を着地させる、まるで那須与一やウィリアム・テルの如き技量を持つ彼らのことだ、狙いを狂わせる可能性は限りなく低いだろう。

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漆黒惑星リュウグウ

リュウグウは算盤(そろばん)の珠のような形をしていて、テレビなどで流れる映像を見る限り灰色をしている。

だが、この色は表面の凹凸を明確にするために人為的に彩色が施されている。

実際のリュウグウは表面を覆う炭素のせいで、まっ黒だ。

暗黒の宇宙空間に漂う、漆黒の小惑星。ゆえに着陸するのもひとクロう。広い宇宙の中からこの惑星が選ばれたのもこの黒さ故か、こういうのをリュウグウ措置というらしい。(お気づきのことと存じますが、これらのダジャレはJAXA相模原キャンパスとは何の関係もありません。アクトンボーイ)

宇宙開発にもルールがある

宇宙開発においては現在「惑星保護」という国際的な規範がある。

これは探査目標である惑星に地球の微生物を持ち込まないことと、逆に生命体存在の可能性がゼロではない惑星、例えば火星から地球に生命体や生命に関連した物質を持ち帰らないようにするという方針のことである。

JAXAにおいても、この考え方に基づき探査機を造り運用しているそうだ。

従って仮に月でウサギを発見しても、その本体はもちろん、毛一本、糞さえも地球に持ち帰ることはご法度なのだ。

この方針は昨日今日作られたものではなく、ソ連のスプートニクが飛んだ直後の1958年には国際的に議論され、今日通用している規範の原型が制定された。

利害が人類共通となれば、世界は行動を統一できるという珍しいサンプルケースとなった。

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