ネタバレご注意
本稿は『アベンジャーズ:エンドゲーム』を基本的には満足して見た筆者が、それでも映画館からの帰りに「よく考えるとちょっと変じゃなかったかな?」と思ったポイントを急いで整理したものです。この映画を批判する意図は全くありません。また本稿は『アベンジャーズ:エンドゲーム』について、細かいことから核心部分についてまでこれでもかってくらいネタバレしています。本稿をお読み頂けるのであれば、当然ながら同作鑑賞後を推奨いたします。
1.この期に及んでおもしろ日本
筆者だけでなく、日本人の観客の多くが「お、おう。」と思ったであろう、ローニンことホークアイの登場シーン。
全てを失ってしまった彼が、5年間のあいだに相手は犯罪者とはいえ、仕置人ならぬ殺人者へ変貌してしまっていて、それをナターシャがお迎えに行くという本来であれば緊迫した場面。
個人的に注目していた真田広之さんの登場場面でもありますが、ここでの日本・東京の描写は一体何なんでしょう。予告編みたときから若干心配していましたが、面白いネオンサインと真田さん以外のキャストの意味不明な日本語に、画面に集中するのが難しかった。マーベルの幹部は日本によく遊びに来るのに、彼らの目に東京はこう映っているんですかね。
ヤクザの事務所に「略奪」とか看板出てるし。それにアキヒコが何したって言うんでしょう。本人も当惑していましたが、日本ではヤクザだからといって問答無用に殺されていいわけではありません。
2.スパイダーマンの学年はどうなる
予告編第一弾のときに気になってはいたのですが、本作のメインの時間軸は「サノスの指パッチンから5年後」ということになってました。
映画の終了時点で、戻って来た面々は全てこの時間軸に復帰することになります。
スパイダーマンことピーター・パーカーも、終戦後学園生活に復帰している描写がありましたが、親友のネッド含めて学年はどうなるのでしょうか。
今夏に公開を控える『スパイダーマン:ファーフロムホーム』は、時系列で『エンドゲーム』より後になると思うのですが、予告編には前作『ホームカミング』に登場した面々がそれほど変わらない様子で、次作にも登場しているようです。5年も経っているようには見えませんよね。
全員指パッチンの時消えてしまってたことにするのかな?
だとしたら50パーセントという確率の割にやられすぎな気もします。
3.新ガモーラについて
サノスがソウルストーンを得るために犠牲になってしまったガモーラ。
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』3作目のためにも、彼女をいかに復活させるのかが注目されましたが、結果はご覧の通り。
ピーター・クィルらファミリーの面々と出会う以前のガモーラが、死んでしまったガモーラの代りを務めることになってしまったようです。
そうするとですね新ガモーラは、ザンダー星でのロナンとの死闘も、初代グルートの死も、エゴの星での経緯も、ヨンドゥの犠牲も、仲間同士家族同然の絆も、何も知らない人ってことになってしまうわけです。
既に執筆済みというジェームズ・ガン監督の脚本にどう影響があるのか分かりませんが、記憶喪失どころかリセットされてしまった関係性。
ソーのメンバー入り?も含めて、なんだかスターロードが気の毒です。
4.キャップの結末
キャプテン・アメリカの最後の選択について。
まず、彼が石を戻しに行ったのは「1970年」だと思うのですが、単純にその時点だとペギー・カーターさんは50歳以上という計算になると思うのですが、それでも良かったのでしょうか。彼女は結婚して子供がいたはずですが、そういうの50代だと全部済んでしまっているのではなかろうかと。
まあ、彼女との関係は「観客のご想像にお任せします。」ってことでもいいです。
一番疑問なのは、1970年に戻った彼が、もう一人の自分が氷漬けになっているあいだ、ハイドラが暗躍するのを黙って見ていたのか?というところです。
特に親友バッキー・バーンズは、バリバリの洗脳状態で暗殺者として活躍中のはず。助けに行かなかったということでいいんですよね?
また、もう一人の自分が復活後も、一手およばず救えなかった命が結構あったはず。
エイジオブウルトロンの時の、ピエトロしかり、シビルウォーの時のワカンダ使節の皆さんしかり。
時間軸に干渉できないという原則は分かりますが、本編で結構干渉してましたよね。
ちょっと腑に落ちないです。
5.本当のハッピーエンド
アイアンマンの大ファンとして、これが一番心残りなんですが。
サノス軍撃退後、インフィニティストーンは6つ揃った状態(間違ってたらごめんなさい)で、アベンジャーズの手に残ります。
で、彼らは最終盤それぞれの石を元にあった場所にタイムトラベルで戻す作業をしてたわけですが、僕ならですね、ハルクの完全回復を待ってから、彼にインフィニティガントレット持たせて、インフィニティウォー直前に送り込みます。
そして「サノス軍を消す」指パッチンをしてもらって、事件解決。ハルクがストーンのパワーに耐えられることは実証済みです。
ソウルストーンの制約から、ナターシャの犠牲だけはどうにもならないかもしれませんが、これならばトニー・スタークは助かるのではないでしょうか。ヘイムダルやロキ、ひょっとしたらヴィジョンも。皆さんはどう思いますか?
※4月28日追記:二回目鑑賞したら、劇中「過去に戻っても起こったことは変えられない。」というルールがセリフで説明されてはいたことに気づきました。そうすると、ハルクが過去に戻っても意味がないことになります。時間旅行で戻って出会う過去の人物は、言うなれば並行世界の別人物ということでフィクション上とりあえず説明できるのかもしれません。しかしその並行世界はキャップが老人の姿で登場するので、現実と重なり合っている訳で、そうすると全く同じ人物が二人ずついることになってしまうという別の疑問が湧いてしまいます。
以上5点、気になって眠れなくなってしまったので挙げさせて頂きました。
断り書きにも記載しましたが、改めて、僕は『アベンジャーズ:エンドゲーム』に基本的には満足しています。
ただ、タイムトラベルをプロットの軸にしてしまった為、プロットの穴がMCUの他の映画と比較して多いような気はします。
とはいえ、広げてしまった大風呂敷をたたむのに他のやり方があるとも思えないので、「とはいえ面白かった。」とこれらのツッコミは飲み込んでしまうのがいいのでしょう。
ひとまず、レビューは複数回鑑賞して、落ち着いてから書くことにして、本稿はこのへんで終わります。