【Marvel Legends】麗しきかなトイビズ時代・マーベルアクションフィギュアの温故知新~前編~

【Marvel Legends】麗しきかなトイビズ時代・マーベルアクションフィギュアの温故知新~前編~
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マーベル・レジェンドを知ってるかい?

今回は久しぶりにオモチャの話題でも。

皆さんは「マーベルレジェンド」という玩具シリーズをご存知ですか?

現在はライセンスオーナーで販売元である米ハズブロ社によって、フィギュアだけでなくキャプテン・アメリカの盾や、ソーのムジョルニアの1/1スケールモデル等にも、「マーベルレジェンド」というタイトルが冠されていますが、元々は6インチ規格のアクション・フィギュアのシリーズ名でした。

この6インチシリーズは現在も絶賛継続中ですので、アメリカン・トイ愛好家は元より、玩具に興味のない方でもシネコンのグッズ売り場等で、MCUキャラを模したこのブリスターパック入りフィギュアを見かけたことがある方は多いのではないでしょうか。

筆者が最近購入したマーベルレジェンド。収納スペースの問題でアソート買いを自粛しております。

総勢数千にものぼると言われるマーベル・コミックのキャラクターと、20を超える映像作品に登場したキャラクターを題材に、年間30~40種くらいのペース(筆者の体感です)で発売されるこの「マーベルレジェンド」の6インチフィギュア。

豊富なバリエーションとこういったジャンルのトイにしてはお求めやすい価格(1体3600円~)とで、コレクターに大人気の、いわばアメトイのメインストリームといっていいシリーズなんですが、実はこの「マーベルレジェンド」には2002年から2006年までの「トイビズ期」と、2007年から現在までの「ハズブロ期」が存在します。2007年にトイビズからハズブロへマーベル玩具製造販売のライセンス移行が行われたんですが、人気の高かったシリーズだけに同タイトルで継続となったんですね。

ハズブロの移行当時のアナウンスでは、トイビズ時代と品質やデザイン面での大きな変更はないとのことだったのですが、技術の進化も含めて現行の「マーベルレジェンド」と、トイビズ時代のそれとでは様々な面で違いがあり、また、このシリーズの歴史を紐解くと、現在隆盛を誇るマーベルにも苦しい時代があったということが判ってきます。

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マーベル・レジェンドの歴史

元々トイビズ(Toy Biz)は19世紀末に創業したカナダのCharanという企業の子会社でした。

1990年1月投資家であったアメリカのアイザック・パルムッター(現マーベル・エンターテインメントCEO)がこれを買収、オーナー(アヴィ・アラドとの共同)となります。この頃からマーベルとライセンス契約して、マーベルキャラクタートイの販売を開始したトイビズでしたが、1996年マーベル・エンターテインメントの破産を契機に合併、トイビズは新会社マーベル・エンタープライズの玩具部門の名称となります。

2001年トイビズは香港の玩具製造会社と提携契約を交わし、その会社に製造をほぼ一手に任せると共にトイビズ・ワールドワイドというネーミング・ライツを与えます。マーベルの玩具部門であるトイビズと、その製造を担うトイビズ・ワールドワイドと、2つのトイビズが誕生したわけです。

マーベルレジェンドの元となったスパイダーマンクラシックス

そしてこの香港のトイビズ・ワールドワイドが製造を手がけるようになったことによって、フィギュアの品質が劇的に向上しました。手始めに「スパイダーマン・クラシックス」として2001年にスタートした6インチフィギュアのシリーズが大好評を博し、翌2002年マーベルのキャラクター全般を対象とした「マーベルレジェンド」がスタートします。2002年発売のシリーズ1アソート4種から、2006年10月に発売されたシリーズ15モジョーアソートまでの約150体が「トイビズ期のマーベルレジェンド」として販売されました。

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低迷するコミックの売上を尻目に順調に業績を伸ばすトイビズ。遭難しそうな会社の救い主という形となったアイザック・パルムッターは2005年、マーベル・エンタープライズの最高経営責任者(CEO)に就任すると社名を再びマーベル・エンターテインメントとし、更に子会社となったマーベル・コミックのCEOにも就任します。語弊を恐れず言うならばアイザック・パルムッターは、玩具販売をテコに今や世界に名だたる巨大コンテンツ、マーベルをその手中に収めたってわけです。

さて、コレクターの素人目には蜜月関係に思えたトイビズ(2005年にマーベル・トイズに改名)と、トイビズ・ワールドワイドでしたが、2006年1月マーベル・エンターテインメントは米ハズブロ社と、キャラクター玩具やゲームの製造販売について2億5000万ドルという巨額契約を締結します。香港のトイビズ・ワールドワイドとの独占的下請契約が1年間残っていたにも関わらず、違約金を払う形でこれを終了しました。

以降は現在に至るまでハズブロ社が「マーベルレジェンド」を製造販売しているわけですが、2006年からの数年間はMCUのスタートという強力な追い風があったにも関わらず、製造元が切り替わったことによる混乱からか、明らかな品質の変化、および微妙なラインナップ(マイナーキャラ多め)も相まって、この「マーベルレジェンド」の売上はやや低迷してしまいます。一時はシリーズ終了の噂も実しやかに囁かれ、筆者を始めとするコレクターをやきもきさせたものです。

 

ハズブロレジェンド初期を代表するフィン・ファン・フーンアソート。ちょっと残念な造形といい、マニアックすぎる題材といい、迷走期を代表するといっていいシリーズですが市場に出た数が少ないため、現在は中古市場で高騰しています。(画像引用元http://www.mwctoys.com/REVIEW_082908a.htm)

私見では2012年のテラックスアソートくらいからハズブロがこのシリーズのテコ入れを開始、徐々に商品がコレクターのお眼鏡に叶う水準になっていった気がしましたが、2012年と言えば『アベンジャーズ』第一作の公開年。やはりあの映画の超大ヒットがその後の現在まで続くマーベルの隆盛に影響を及ぼしたことが、こんなことからも見て取れます。

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さらっと書くつもりが、思い入れが強すぎて長くなってしまいそうなので、ここまでを前編として次の稿に続きます。

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