【鑑賞前に読んでね】『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』MCUマニア的見どころ整理

【鑑賞前に読んでね】『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』MCUマニア的見どころ整理
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現在2019年6月26日の深夜午前0時30分(執筆時点)。

皆さま映画『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』の劇場チケットはつつがなく入手されましたでしょうか。

日付が変わり劇場が映画公開日当日のチケットの販売を開始するたびに、毎度アホみたいに寝こけて、良席を逃し続けている筆者も今回は会社で昼寝をたっぷりしたせいか、見事TOHOシネマズ日比谷のIMAXシアター、ど真ん中センターシートのゲットに大成功、公開日に鑑賞できるとなったら、俄然やる気が違いますので最近忙しさにかまけて更新を怠っていたこのブログも、関連記事なんかをビシッとあげてしまおうかなと、意気揚々とキーボードを叩いているわけでございます。

さて、そんなわけで今回は『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(以下『スパイダーマン:FFH』)の見どころを紹介してみようと思うわけですが、切り口としましては、どのエンタメ系サイトでも読めるような「ピーターとミシェル(MJ)の恋の行方はいかに?」的な通り一遍の見どころではなく、表題にあります通り、MCUの熱烈なファンに向けて、若干マニアックな視点からのポイントを4つ挙げていきたいと思っております。

本稿は『スパイダーマン:FFH』の鑑賞前に執筆していますので、本作のネタバレは含まれておりません(予告編で得られる情報は除く)が、これまでのMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)『アベンジャーズ:エンドゲーム』まで全22作の内容を踏まえており、当然ながら過去作のネタバレがふんだんに含まれた内容となっておりますので念のためご注意ください。

鑑賞後のネタバレ検証記事はこちらから

それではさっそく参りましょう。

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1.「失われた5年間」の伏線回収

『スパイダーマン:FFH』は『アベンジャーズ:エンドゲーム』の後日談。サノスの指パッチンから5年、アベンジャーズの全てを賭けた戦いによって失われていた生命が戻って来た後の話です。

前作『スパイダーマン:ホームカミング』より、学園生活を基調に描いているMCU版スパイダーマンですが、伝え聞く情報によると主人公ピーター・パーカーの主だった同級生は、本人も含めて「5年間消えていたことになっている」ようで、戻って来たピーターが浦島太郎にならずに済んでいるようです。

しかし、思い出して頂きたい。サノスの指パッチンでは無作為に50%の確率で選ばれた生命が消失してしまっていたはず。つまり2人に1人は難を逃れたはずですので、ピーターの周囲だけやけに消えていた確率が高いことには、何らかの整合性のある説明が欲しいところです。

また、『エンドゲーム』関連記事でも書きましたが、人口や生命体の数が、5年の空白期間を置いて急に増えたりすれば、環境的にも社会的にも大きなダメージがあるはずです。さらにエンドゲーム時点であれほど荒廃していた世界が、みんなが戻って来たからといってすぐに通常運転というわけにもなかなかいかないはず。『スパイダーマン:FFH』ではピーター達はヨーロッパ旅行なんぞに出かけるみたいですが、なぜ観光している余裕があるのか、という点もシリーズのエピローグとして、忘れずに伏線回収してほしいポイントです。

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2. マルチバースという風呂敷

本作の予告編では、ピーターが「エレメンタルズ」と呼ばれる、火や水を自由に操るヴィラン達と戦闘を繰り広げている様子が映し出されています。

『アイアンマン』(2008)から始まったMCUでは、観客に劇中の世界を自らの住む世界と地続きにあると思わせるような「リアル」演出がシリーズを通しておおむね踏襲されており、ヒーローに対するヴィランの描き方においても、なるべく自然に見える工夫が施されてきました。作品によってフィクションラインの高低こそありますが、このやり方が功を奏し、MCUはあらゆるエンターテインメントの中でも類を見ないほどの規模へ成長したといっても過言ではありません。

「親愛なる隣人」がキャッチフレーズのスパイダーマンも、前作『ホームカミング』ではNYに暮らす高校生の身の回りの、言っちゃえば「小さな世界」で起こり得る事件や敵を相手にしており、そこがスパイダーマン映画ならではの魅力となっていたわけですが、予告編を見る限り『スパイダーマン:FFH』は前作で構築された作品世界の殻を破り、まるで雷神ソーや、ドクター・ストレンジが相手にするような、現実世界においてはその存在がまず「ありえない」ファンタスティックなヴィランと対峙しています。

予告編中のニック・フューリーの発言から、『エンドゲーム』最後の戦いで次元に裂け目ができ、エレメンタルズはブラックホールから、ミステリオ(ジェイク・ギレンホール)は『スパイダーバース』よろしく他次元から来たということになっていますが、地に足がついた物語を特徴とするスパイダーマンの作品世界に、観客によっては荒唐無稽とも感じる「マルチバース」という概念を如何に(本格的に)着地させるのか、来たるべきフェイズ4に向けて、MCU流「風呂敷の広げ方」は今をときめくクリエイター達の腕の見せ所として、見逃せないポイントです。

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3. 信用できないミステリオ

「私の世界でも一緒に戦いたかったよ。」

予告編で寂し気なパイセン面して、いたいけなピーターを信じ込ませようとしているミステリオ(ジェイク・ギレンホール)。

SONYが配信している映像なんて、「新たな師ミステリオ」なんて、アメコミファンからすると笑えるタイトルがついているものまでありますが、ちょっと想像してみてください。スパイダーマンの宿敵、シニスターシックスに何代も渡って名を連ねる、もはやマーベル世界におけるヴィランの大名跡といっていいあのミステリオが、アイアンマンの後を継ぎ、ヒーロー側に加入してスパイダーマンと肩を並べて戦っていくなんてこと、あるわけがないのです(断言)。

確かにマーベルコミックスの方でも、ヒーローとヴィランの善悪の意識が入れ替わるAXISというイベントが数年前にありましたが、いくら他の次元から来たって言ったって、あのミステリオですよ?(しつこい)しかも、演じるのは太い眉毛でてっきりいい人だと思っていたのに『ナイトクロウラー』(2014)のクリス・ブルーム役で洋画ファンを戦慄させたジェイク・ギレンホール。

そもそも新たなヒーローを登場させるのであれば、マーベルにはベンチを温めている映画未登場のヒーローがわんさかいるのです。スパイダーマンの新たな相棒にわざわざ有名ヴィランの名を冠する必要なんかどこにもないはずなのです。

もしかするとミステリオの名は、日本ではアメコミファンだけにしか認知されていないかもしれませんが、本国アメリカではスパイダーマンはコミック界でバットマンに次ぐ人気を誇るヒーロー、当然その宿敵たちの知名度は日本国内の比ではありません。

観客が高確率で「裏切る」と分かっているキャラクターをどう描くのか。シナリオ面の注目ポイントです。

4. 斬新なスイングアクション

2019年の初頭、アニメ映画『スパイダーバース』のアカデミー賞受賞で世間を騒がせたスパイダーマンですが、昨年(2018)の秋にも、エンターテイメント界の話題を席巻したことを覚えてらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

2018年9月に発売されたプレイステーション4用ゲームソフト『Mervel’s Spiderman』。空前の大ヒットとなったこのゲームは過去15年間で最も売れたヒーローゲームとして歴史にその名を刻みました。

スパイダーマンを操作し、NYの摩天楼を縦横無人にスイングで飛び回ることができる爽快なゲーム性が中毒的な魅力を持つ、素晴らしいゲームでしたが、映像をご覧頂ければおわかりの通り、ゲーム中シームレスに挿入される大迫力のムービーも作品を語る上で欠かせないポイントです。CGアニメーションであるとはいえ、スパイダーマンを題材にありとあらゆるアクション演出をやり尽くしてしまった感のある『Mervel’s Spiderman』、奇しくも『スパイダーマン:FFH』の撮影終了はこのゲーム発売の1ヶ月後、ポストプロダクションには、このゲームの爆発的人気を踏まえルことが出来たはずです。

『FFH』のアクションは、ゲームを越えることができるのか。前項と同じく、製作陣に課せられたハードルは高いですが、MCUならばこそ、軽々と飛び越えてくることを期待しています。

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いかがでしたでしょうか?

駆け足ながら、4つほどマニアならではの視点をご紹介させて頂きました。

他にもですね、「アイアンマンが遺したはずの34体のアイアンマンスーツはいずこ?」とか、「グウェン・ステイシーは結局でるのでないのどっち?」とか挙げようと思えばいくらでもひねり出せるのですが、キリがありませんのでそこらへんは鑑賞後のレビューに回したいと思います。

鑑賞後の検証記事はこちらから

それでは皆さん、6月28日金曜日、映画館でお会いしましょう。(何この終わり方)

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