【ロードバイクでダイエット】そもそも自転車で痩せることはできるのか

【ロードバイクでダイエット】そもそも自転車で痩せることはできるのか

楽して痩せたい

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中世以降、西洋文明の伝播により、男女ともに「スマートな体型」が貴ばれるようになって久しいが、読者諸兄におかれてはいかにして自らの「体重コントロール」をされているだろうか。生まれつき細身で、自重など気にしたこともないという稀有な人々は別にして、大概の人間にとって加齢とともに増えゆく皮下脂肪は悩みの種。毎年の健康診断の結果をうけて「中性脂肪以外はAなのにねえ。」「貯金は増えないのに体重と血中コレステロール値は雪だるま式に増えてくなあ。」あははうふふ、なんて、そんな日々はもうおさらばしたい!そう決意して、「ダイエットの手段としてのスポーツ自転車」を検討中にこの記事にたどり着いた方もおられるのではないだろうか。

本稿は、人生40年、ジョギング、水泳、断食、ビリーズブートキャンプ、TRF、ライザップにフィールサイクル(←NEW!)等あらゆるフィットネスをいっちょかみしては挫折してきた筆者が、なんやかんやで9年間(2019年で10年目)継続しているフィットネスとしてのサイクリング(ロードバイク)、その効果やメリット、そしてマイナス面をいっさい忖度することなくご紹介しようと試みるものである。

自転車ダイエット本などでよく言われている「楽に痩せることができる」という魔法の言葉。

ダイエットに苦労し続けている人間にとってこんな甘美な響きはあるまい。何を隠そう、この僕も9年前、毎日ジョギングしたり、食事に気を使ったりする日々に飽き飽きしていたところ、トライアスロンを嗜む友人にこのキラーフレーズを耳元で囁かれ、フラフラと東京・神保町のワイズロード(自転車ショップ)に入店して、今に至っている。

「サイクリングは楽に痩せることができるか?」

この問いに対する今の僕の答えはこうだ。

「楽の意味による」

言葉遊びと感じたら申し訳ない。だが、「楽」の部分に「しんどくない」「気安い」という意味を期待するのであれば、その期待は残念ながら多かれ少なかれ裏切られることになるだろう。9年間ロードバイクに乗って言えることは、やはり魔法など存在しない、体重を減らすにはそれなりに頑張らねばならない、ということだ。

がっかりしないでほしい、そのことを踏まえた上でも、まだ「ダイエットに自転車はおすすめです」と言える理由はある。

自転車ダイエット最大の魅力

さきほど、「楽の意味が違う」と言った。自転車ダイエットの最大の魅力、それは「楽しさ」である。

いやいやいやまてまてまてと、勿体ぶって何言うかと思えばそんなことかい、そんなもんジョギングやスイミングの愛好家に聞けば「走るの楽しい」「泳ぐの楽しい」って言うだろうし、世の中どんなアホみたいにキツく見える競技にだって「楽しい」って抜かす酔狂者は一定数いるぜ?そんな読者の心の声が聞こえてきそうだが、そんな主観がすぎる楽しさの話をしているのではない。

スピードが出る乗り物で風を感じる

行ったことのない場所に行く

美しい景色を見る

カッコいい(と思ってる)乗り物を自分流にカスタマイズする

僕が考えるスポーツサイクリングの魅力を端的に書くと上の4つになる。「自転車」という要素を外して考えた場合、これらが他の趣味にも共通しうる普遍的な「楽しさ」であることは納得頂けるだろう。1つあれば十分趣味として成立する「楽しさ」が4つもあるのだ。人によってはこの上に「レースに出て、日常では感じることのない緊張感と達成感を味わう」だとか「気の置けない仲間と同じ時間を過ごす」なんかを加えることができるだろう。そしてその上で有酸素運動なのでフィットネスにもなるのである。

自転車ダイエットの最大の魅力は「楽しさ」、前提としてこれを頭に入れておいてほしい。

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自転車は脂肪の燃焼効率がいい?

本などでは、自転車は「有酸素運動として効率が良い」的なことがよく書かれている。曰く、正しいポジションで乗れば前身の筋肉を使うので基礎代謝が良くなる、だとか通勤やちょっとした買い物の時間もフィットネスになる、だとかね。

普通効率というのは、「時間に対しての効果」についていうものだと思うが、そういう面ではサイクリングは、代表的なフィットネスであるところのジョギングやスイミングと比較して、別に効率が良いわけではない。素人が15分ジョギングするのはそれなりにしんどいけれども、15分自転車で移動するのは別に何でもない。何でもないのは、それだけ体の負担が少ないからだ。

ネット上では「自転車はランニングよりカロリー消費が上」なんて記事をよく目にするが、簡単に騙されてはいけない

自転車がジョギングにカロリーの消費効率で上回るためには、ある一定上の速度を維持した状態でペダルを踏み続けなくてはならない。トレーニングを公道で行う場合、ジョギングは決めた距離を必ず自分の足で移動しなければならないが、自転車は足を止めてもギアが空転して勝手に進んでくれる。下り坂ならなおさらだ。乗っかってる人間は休憩できてしまう。サイクリングがジョギングに脂肪の燃焼効率で勝つには、鍛え抜かれた脚と、そして延々とこぎ続けられる信号のない平坦以上の道が必要だ。

自転車ダイエットのメリット

それでは自転車ダイエットはジョギングなどに劣るのか。そんなことはない。自転車がジョギングなど他の代表的なフィットネスに勝る理由が大きくいって2つある。

1つは先ほど述べた「楽しさ」という点

フィットネスというのはある程度の期間、継続しなければ効果は出ない。そしてどんなものであれ楽しくないものを継続するのは苦痛である。自転車ダイエットは、スポーツサイクリングが持ちうる複合的な「楽しさ」ゆえに継続が容易である。ダイエットの話から少しずれてしまうが、生活の中にはっきり「楽しいこと」があると、大げさでなく人生に潤いが生まれると思う。それだけでも始める価値はあるだろう。

2つめは「体へのダメージが少ない」という点だ。

ジョギングでよく言われる膝や腰への負担。そういった直接的なダメージもそうだが、何より呼吸器系の疲労。ジョギングでは、体重減少に効果あるスピードでそう何時間も走ることはできないが、自転車はどちらの負担も少なくて済むので長時間の運動が可能だ。結果、時間単位の効率では劣っても、トレーニング単位の効果ではジョギングなどを上回ることができるのだ。

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自転車ダイエットのデメリット

何度も述べたように、筆者はスポーツサイクリングの「楽しさ」から自転車ダイエットをお勧めするものであるが、目につくデメリットがないわけではない。

まず初期費用がかかる。

スニーカーがあればとりあえずは始められるジョギングとは異なり、スポーツサイクリングはハッキリ言ってお金がかかる。ある程度のスピードが出る自転車を購入しなければならないし、ヘルメットやサングラスも必要だ。ダイエットに使うならスピードメーターも必要だろう。「ただ痩せたい」というだけでなく、スポーツサイクリングへの積極的な興味がないと怖気づいてしまうかもしれない。

交通事故のリスク

スポーツサイクリングでは、自動車やバイクと同じ車道を主に走ることになる。道交法の順守は言わずもがなだが、それでも巻き込まれる形での交通事故のリスクはないとは言えない。この点がこのフィットネスの最大のデメリットだろう。だが、あまりビビる必要もない。ちょっと探せば交通量の少ない道などいくらでもあるし、乗っているうちに危険の兆候は判るようになってくる。油断しなければ大丈夫、あとはよく使うルート次第だ。

お腹が強烈に空く

自転車乗りが恐れる症状「ハンガーノック」。唐突におそいくる強い全身の虚脱感と眩暈、重いときは命にも関わる低血糖状態だ。精神や体への負担の少なさゆえに長時間の継続が可能なスポーツサイクリングだが、いつの間にか消費されたカロリーが甚大な量になってしまいこういったことが起こり得る。

ハンガーノックそのものは、無補給で長時間サイクリングしたり、激しいトレーニングしたりしないかぎりそう心配することはないのだが、スポーツサイクリングは他のフィットネスと較べて運動継続時間が長い分、強い空腹感を感じることがよくある。この強烈な空腹感がダイエットに禁物で、「ハンガーノック防止」を免罪符に補給食を摂り過ぎてしまったり、運動後に「たくさん消費したから大丈夫だろう」と、消費された以上に食べ過ぎてしまったりするわけだ。よく街を歩いていて目にするロードバイク乗りに、意外と腹が出た人が多いのはおそらくこのデメリットに起因する。

食事制限:運動=8:2

最後に、自転車ダイエットを始めようとしてる方に簡潔なアドバイスをしたい。よくフィットネス界隈で言われる、食事制限と運動の比重は7:3で食事制限が大事だという黄金比。自転車をフィットネスに選ぶなら、その意識は8:2にまであげておこう。「自転車乗ると、何食べても太らない」のは元々痩せていた人か、たいして太っていない人だけだ。大幅な体重減少を志すのであれば、サイクリングによって生まれる「強烈な空腹感」との戦いに勝利しなくてはならない。せっかく運動するのに、たった「2」かよと思うなかれ。これは意識の話で、適切な食事制限と組み合わせれば、何度も言うようにサイクリングの消費カロリーは絶大。やりようによっては短期間で体重を激減させることも、現実的に可能である。

「そもそも自転車で痩せることはできるのか?」

答え:食べ物に対しての貴方の意志さえしっかりしていれば、自転車はダイエットへの強力な武器になりうる。

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