【判った気になれる相対性理論-導入部その1】日常の世界と相対性理論が描く世界

【判った気になれる相対性理論-導入部その1】日常の世界と相対性理論が描く世界

カゲロウと人間

相対性理論に臨むにあたり必要となる心構えは、日頃馴染んでいる目の前の世界を一時忘れることだ

理論の世界はあまりにも違い過ぎる。

「程度が変われば質も変わる」と言うけれど、ギャップはそれ以上である。

例えて言えば、寿命がたった一日だけの虫を思い浮かべてみてほしい。

その虫にしてみれば、植物は全く「静止」した存在であるに違いない。

ところが人間はその虫よりもずっと長生きするので、動物ほど顕著ではないにせよ、植物もまた変化することを知っている。

一日だけしか生きられない虫と、人間の認識の相違。そのぐらいの違いがある。

3種類のものの見方が必要

量子力学が観察の対象とする「素粒子」のふるまいも、普通の人にとっては理解不能である。

何しろ素粒子を観測しようとすると、その「位置」と「速度」は同時に把握できない。

あくまでも確率的にしかとらえられないのだ。

これを「不確定性原理」という。

そんな住所不定の素粒子がわんさと集まって人間ができあがって、「われ思う故にわれ在り」という不動の確信を抱いているのだから不思議なものである。

人間が生活している日常世界。

光速度に近い世界。

そして素粒子の世界。

この三つの世界が存在し、それぞれに適用される基準は異なっている

これらの世界を行き来するには素早い頭の切り替えが必要となる。

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マルチバース(多元宇宙論)

宇宙はひとつではない。たくさんある。

と現在多くの宇宙物理学者が考えている。その理由として主なものは、我々のいる宇宙の「でき方」が特段珍しいものではないからだそうだ。

その「でき方」とは?

われわれの宇宙は、滅茶苦茶に膨大なエネルギーの詰まった灼熱の「点」から生まれた。

136億年前のことだ。

そんな「点」が何かの拍子に膨らみ、直ぐに破裂(ビッグ・バン)し、また膨らみに膨らんで(×100万回)今日の大きさに成長した。

膨らむということは、つまり冷却されることであり、その過程でエネルギーが物質その他に変化した。

こういう成り立ちなら、他で起こってても不思議ではない、という訳だ。

で、たまさかわれわれの宇宙においては秒速30万キロメートルの光が盟主であり、物質や他のあれやこれやは光に従属しているのである。

われわれの宇宙以外の宇宙では、同じように光が主の地位にありながら、速度は秒速30万キロメートル以上であったり、それ以下であったりと色々だ。

あるいは光以外の素粒子が君臨しているのかもしれない。

というわけで、今やUniverseとは言わなくなった。代わりにMultiverseと表現する。

 

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相対性理論とは

神様が仮に存在するとして、他の宇宙のことはさておき、彼はわれわれの宇宙を創造するにあたり、その設計基準を以下の如く設けた。

この宇宙の盟主を光とし、その速度を秒速30万km(c)に固定する。

時間や空間、物質は光に絶対的に従属する。

光速が最速。物質は光速を超えてはならない。

時間と空間は一体。

物質とエネルギーは同じ。互いに入れ替わる。

時空と物質(エネルギー)は相互に影響しあう。

アインシュタインは、上記設計基準を探り当て、特殊相対性理論をまとめ、それを基礎とし、研究をさらに進めて一般相対性理論を組みたてた。

光の速度は何故秒速30万キロメートルかと問うなかれ。理由などない。

神様が勝手に決めたと思うのがいいだろう。

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