【M.U.S.C.L.E.マッスル!】海の向こうでも大ヒットしたキン肉マン消しゴム

【M.U.S.C.L.E.マッスル!】海の向こうでも大ヒットしたキン肉マン消しゴム

急上昇するベンキマン

この間掲載したキン肉マンスタンプラリーの記事、【JR東日本キン肉マンスタンプラリー】西荻窪駅が「ベンキマン」である理由がお陰様で好評でして、弱小ブログに似つかわしくないほどのアクセスを集め当サイトのPVランキングを駆けあがっているのですが、書いた当人からすると非常にビミョーな気分でして。

この記事が読者の方に、僕が長年愛してやまないキン肉マンを再認識して頂いたり、現在(2019年2月)開催中のJR東日本キン肉マンスタンプラリーに関心を持たれたりするきっかけになったのであれば喜ばしいことなんですが、いかんせん題材にした超人がベンキマン。もちろん好き嫌いで言えば大好きなキャラではあるものの、キン肉マンを知らない世代がいきなりこの記事を読んで、「キン肉マン=ベンキマンみたいなキャラばっかり出る下ネタギャグ漫画」と受け取ってしまうのは本意ではありません。ベンキマンは古代インカに伝わる由緒正しきベンキーヤー族の末裔なんだと強弁してみたところで、見た目のインパクトに叶うものではないですしね。

Advertisement

なんとか、ベンキマン記事の勢いを止めるべく、キン肉マンの魅力を違う観点から紹介するためキーボードを叩いている次第です。今回は、キン肉マンを語る上で切っても切り離せない玩具、キンケシ。それも、皆様があまりご存知ないであろう、海を渡ったキンケシの話です。

キンケシのグローバルデザイン

今でこそ、すっかり当たり前の存在となったカプセルトイ。いわゆる「ガチャガチャ」がヒット商品の媒体として大衆にハッキリ認知されたのには、1970年代後半から1980年代にかけての、スーパーカー消しゴムブーム、そしてその後に続いて爆発的な人気を獲得した「キン肉マン消しゴム」の影響が大きいです。

最盛時の1983年から1987年の間、累計1億8000万個が出荷された「キンケシ」。メインターゲットだった日本の現在35~45歳男性の人数が900万人くらいですので、少年一人につき20個近く持っていた計算になるといえば、そのブームの巨大さが判ると思います。

ある種事件ともいえるキンケシの大ヒットを受けて、1985年、世界最大の玩具メーカー、米国のマテルがアメリカ及びカナダにおいてのキンケシの版権を取得します。マテルはキンケシを、日本国内のような販売方法ではなく「M.U.S.C.L.E.」とのブランド名をつけて数体セットのブリスターパックで販売しました。キン肉は英語でmuscleだから、なるほどねと思うところですが、この「M.U.S.C.L.E.」、ピリオドが付いてるので長い単語の略なわけです。

何の略かというと、”Millions of Unusual Small Creatures Lurking Everywhere”。

直訳すると「あちこちにたくさん潜んでいる小さくて不思議な生き物たち」。

…?何言ってんだおめえ

Advertisement

そう、お察しの通り、当時アメリカでは「キン肉マン」のアニメは放映されておらず、コミックも海を渡っていませんでした。アメリカ人の誰も「キン肉マン」のことを知らなかったわけです。そこで、マテルによって玩具オリジナルの世界観を与えられて発売された「M.U.S.C.L.E.」ことキン肉マン消しゴム。キン肉マンは「Muscle man」で正義の「Thug Busters」(ちんぴらやっつけ隊)のリーダー。対する悪役は「Cosmic Crunchers」(宇宙破壊者たち)で、首領はバッファローマンこと「Terri-Bull」。小さいゴム人形たちが善悪2つのチームに分かれて、抗争を繰り広げているという世界観です。

言うまでもなく、日本でのキン肉マン消しゴムの大ヒットには、当然その背景にコミック及びアニメ「キン肉マン」の大人気がありました。それを抜きにキンケシだけ販売する、というとかなり奇妙なことのように感じますが、これがアメリカでもビックリするくらいの大ヒット(笑)。日本と同等とまでは言いませんが、当時アメリカの少年の2人に1人は「M.U.S.C.L.E.」で遊んだことがあるというくらいの人気を獲得したそうです。

アメリカでの人気の理由は、マテルがテレビCMまで打った大々的な広告戦略の甲斐もありますが、当時アメリカはWWF(現WWE)を中心としたアメリカン・プロレスの全盛期。プロレス、それもどちらかと言えばアメリカンプロレスをモチーフにしたコレクション性のある玩具であったというところがヒットの要因として一点、そしてもう一つ忘れてはならないのが、ゆでたまご先生が読者とタッグを組んで産み出したキャラクターデザインの秀逸さ。

魅力的な変形機構も、カラーリングも何もないゴム人形がはるか海をこえて、キャラクターの背景を何も知らない少年たちの心をも掴みえた、というところがこの「M.U.S.C.L.E.」ことキンケシの特筆すべき点なわけです。

Advertisement

ここ数年、僕ら直撃世代を中心にちょっとしたキン肉マン・リバイバルブームが起こっており、その表れが先に紹介したスタンプラリーであったりするわけですが、その流れでキンケシも完全復活。街角のガチャガチャでレギュラー販売されたりもしています。僕も見かける度に回していますが、そこで欧米からの観光客が購入しているのをよく見かけるようになりました。

 

View this post on Instagram

 

おはようございます! キン肉マンKIN29SHOP TOKYO店に新商品キンケシ入荷‼️ ✨『キンケシ10』✨ 今回のレアなカラーリングver.は・・・キン肉マン ビッグボディ‼️ その他も魅力のあるキンケシとなっております😍 ぜひコンプリート目指してください💪 1回 200円 #キン肉マン #kin29shoptokyo #キンケシ #ガシャポン #bandai #バンダイ

キン肉マンKIN29SHOP TOKYOさん(@kin29shop_tokyo)がシェアした投稿 –

キンケシを手に仲間うちで何やら大盛り上がりしているおそらくは筆者と同世代の彼ら。話しているキャラクターについての内容は、本当のキン肉マンをよく知っている僕らとはかけ離れていても、懐かしい友達に会ったかのような表情には、とても親近感を覚えて、こっちまで嬉しくなります。

余談1

通常であれば、玩具がそこまで大ヒットするなら大元「キン肉マン」のアニメも追っかけて放映されそうなものですが、アメリカでは21世紀になるまで「キン肉マン」のアニメは放送に乗りませんでした。一説にはフランスでブロッケンJrがNG(第二次大戦時のドイツ軍をモチーフとしたように見える正義超人だったため)となったように、同じく正義超人のジェロニモが放送コード的に危うかったからではないかと言われています。

余談2

キンケシのアメリカ販売ラインとして人気を博した「M.U.S.C.L.E.」。マテルの所有していたキン肉マンキャラクターの版権が切れたあとも、手を変え品を変え存続しています。現在はサンフランシスコの玩具メーカー、Super7が「M.U.S.C.L.E.」をリバイバルした商品を展開しています。

 

View this post on Instagram

 

¡Regresando pronto al cuádrilatero! Returning to The Ring soon! The Legends of Lucha Libre 1.75″ MUSCLE Figures will soon be back in stock after a lengthy absence. #luchadores #muscle #super7

Super7さん(@super7)がシェアした投稿 –

Advertisement

 

TOYカテゴリの最新記事