【大人が読みたい少年漫画0】『アベンジャーズ』の後は、MANGA時代がやって来る!?

【大人が読みたい少年漫画0】『アベンジャーズ』の後は、MANGA時代がやって来る!?

2019年は潮目の年

僕は個人的に来年2019年は、アメリカを中心とした映画エンターテインメント界の潮目が変わる年になるのではないかと、予想しています。

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現在、その中心に座しているディズニー傘下のMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)は、2019年5月の『アベンジャーズ4(仮題)』をもって、アベンジャーズのメインキャスト、アイアンマン(ロバート・ダウニーJr)や、キャプテンアメリカ(クリス・エヴァンス)、ソー(クリス・ヘムズワース)らが降板することが明らかになっており、誰の目にもはっきりと一時代の終焉を迎えます。その終わりを先延ばしにできるはずだった、シリーズの人気作『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の最終作(Vol.3)は、因縁に近いしょうもない理由でのジェームズ・ガン監督の降板(追放に近い)により、製作スケジュールが白紙に近い状態に戻されています。

親会社ディズニーのFOX買収により、アベンジャーズ完結のあとは、マーベルスタジオが取り戻した形の、同社が誇るメインコンテンツ「X-MEN」のシリーズ映画が始まるというのが大方の見方ですが、僕はたとえ新「X-MEN」が始まったとしても、アベンジャーズほどの市民権を得るのは難しいだろうと思っています(僕は喜び勇んで観に行きますが)

アベンジャーズが去りし後

理由は色々あります、まず原作のコミック版X-MENのテーマが差別と抵抗の物語であり、子供に好まれるような明るくポップな映画用の話を構成しにくいこと

次にFOX体制下で2000年代量産されたX-MEN映画の印象、特に「X-MENの顔」と言うべき、プロフェッサーX(パトリック・スチュワート/ジェームズ・マカヴォイ)とウルヴァリン(ヒュー・ジャックマン)のイメージが薄らいでないこと。

それならばと、マイナーキャラを上手く操りコアなコミックファンも納得するオリジナルストーリーを産み出せる非常に稀有な才能(ガン監督のことです)がいなくなってしまったこと。

そして何より、ワーナー傘下のDCEU(バットマンやスーパーマンらDCコミックス原作の一連の映画のこと)の存在もあってか、今はまだ大勢いるファンが遠からずアメコミヒーロー映画に「馴れ」、やがて「飽き」を感じて数を減らしてしまうだろうと危惧するからです。

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2018年現在、映画界に盤石の帝国を築いた感のあるディズニーですが、『マーベル』以外のもう一つの実写版コンテンツ『スターウォーズ』の状況も順風満帆とはいきません。『フォースの覚醒』(2015)『ローグ・ワン』(2016)で快調なリブートを果たしたように見えたディズニー傘下の『スターウォーズ』でしたが、『エピソード8:最後のジェダイ』(2017)で、誰も予想しなかった大失速。ただ賛否が分かれたというだけでなく、旧三部作ファンの多くが信頼を裏切られたと感じ、新しく製作される次作への関心が非常に低くなってしまっています。今年(2018)公開された『ハン・ソロ』はその煽りをもろに受ける形となりました。ルーカスフィルム側は、これを受けて『エピソード9』以降の実写映画製作のペースを落とすことを発表しています。

ここ数年のエンターテインメントを牽引してきた『マーベル』そして『スターウォーズ』。これらが担ってきた業界の中心が、他のものに移り変わっていく時期を迎える時期なのかもしれません。

コンテンツの宝島

ということで、日本の漫画の話です。

「いい歳こいて少年ジャ〇プかよ。」と後ろ指さされて幾星霜。

三つ子の魂とはよくいったもので、当方、一年前に40の壁を軽やかに突破したにも関わらず、アメコミだけでなく、日本の少年向けコミックをあれこれ嗜む日々を送っています。

単純に嗜好が幼稚なだけでは?」そう思われたアナタにちょっと反論させて頂きますけれども、世界中で人気を博している日本産コンテンツをちょっと思い浮かべてみてください。ドラえもん、キャプテン翼、ドラゴンボール、キン肉マン、遊戯王、AKIRAにナルトに鉄腕アトム。言うまでもなく全部少年漫画より生まれたキャラクター達です。仮にもクールJAPANなどと標榜し、コンテンツ主導による観光立国を目指す国の民ならば、そのメインストリームに目を向けずに、何を判った気になれるというのか、ワタクシとしては逆に疑問に感じざるをえません(強弁)。

4,500億円ともいわれる規模を誇る日本のコミックス市場。言うまでもなく世界でぶっちぎりのナンバーワンです。バットマンやアイアンマンなどは重ねて言うまでもなくアメリカのコミックス出身のヒーローですが、かの国のコミックス市場規模は現時点で500億円未満。日本の10分の1程度です。質的にどちらが上なんてナンセンスなことを言う気はありませんが、市場の競争原理に照らすならば、アメコミキャラに出来たことが、日本の漫画キャラに出来ないはずはないのです。

ネットによるチャンネルの増加で、コンテンツ大量消費時代に入って久しい昨今。アメコミヒーロー映画も上に挙げたように目新しさがなくなり、有名な文学作品もあらかた映像化されてしまいました。次に原案として掘り起こされるのは、間違いなく日本のアニメやコミックス。語弊を恐れず言うならば、これらこそコンテンツ界において地上に残された最後の宝島なのです。

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既に流行は始まっている

漫画の実写化というと国内では限られた予算と才能のせいか、あまりうまくいっていないイメージがありますが、海外の大資本が手がければそれも時間の問題でしょう。現に、来年初春には木城ゆきとのSF漫画『銃夢』を実写化した『アリータ:バトルエンジェル』が公開を控えていますし、つい先日大手映像配信サービスのNETFLIXが、アニメ『カウボーイビバップ』を実写ドラマ化することを発表しました。実写化に適した日本の作品を選ぶ目を持った人材が、海外の製作現場に増えてきた証左ではないでしょうか。

前置きが大変長くなりましたが、そんなわけで国内だけでなく世界を席巻しうるポテンシャルを秘めた日本の少年漫画。厳しい競争に淘汰され、おそらくは世界でもトップの水準を誇る作品を、青少年だけでなく、日本の大人たち(特に映画好きの)が触れるきっかけになれば、というのがこのシリーズを始める理由です。

次稿は栄えある第一回ですので、筆者の今一番お気に入りのコミックス、集英社刊の『ワールドトリガー』をご紹介します。

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