【予測は不可能】改元を利用した企業キャンペーンは面白くない

【予測は不可能】改元を利用した企業キャンペーンは面白くない

新元号予想アンケート

今日はちょっと軽めのネタを。

ソニー生命保険(東京都千代田区)が2018年に行った「新元号予想アンケート」の結果が話題になっていますね。このアンケートは1,000人を対象にインターネット調査を行ったもので、投票の多かったものから順にランキング形式で発表されています。ペスト10は以下のようになったそうです。

1位 平和 47票

2位 和平 19票

3位 安久 17票

4位 未来 16票

5位 自由 新生 11票

7位 大成 10票

8位 羽生 希望  9票

10位   安泰 安寧 太平  8票

リサーチ会社「テスティー」(東京都中央区)が実施した似たような調査でも、1700人以上が回答した結果最も使われた漢字は「和」(166票)、次いで「平」(98票)となったので、おそらくランキングも似たようなものになったのでしょう。

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「平和」「未来」「自由」ーいいですね。小学校低学年の書き初めみたいです。

「和平」なんて最高です。「和平20年中東和平交渉が決裂」みたいな年表になって、いちいちやるせなさを誘いますね。

「羽生」って書いた人はあれかな?フィギュアスケートが好きなのかな?意外と将棋の方だったりしてね。こんな回答したのが9人もいるなんて、日本の行く末は明るいですね。

ソニー生命がどういう思惑でこんなアンケート結果発表してんのか知りませんけど、結論から言うと、上のペスト10に載っている予想は、全て新元号になることは「ありえません」。単純だから、アホっぽいからとかそういう理由ではなく「法律で決まっているから」です。

元号法

新元号制定については、ご存知の方も多いと思いますが、昭和54年に制定された元号法という法律の中に定められた要領に沿ってすすめられます。

法律の条文を箇条書きしても無駄に長いだけですので、要約すると、元号の制定にあたっては、まず総理大臣が選定した若干名の有識者が一人2〜5のアイデアを出して、そのアイデアを官房長官がある程度絞り込みます。で絞り込まれた候補を内閣法制局が元号にして支障がないか精査して、さらに絞り込まれた案の中から閣議によって最終的に新しい元号が決目られます。

有識者が提案、そして官房長官が検討・整理するとき、それぞれの案については以下のことを留意することが決められています。

1. 国民の理想としてふさわしいような良い意味を持つものであること

2. 漢字2字であること

3. 書きやすいこと

4. 読みやすいこと

5.   これまでに元号または諡名(おくり名)として用いられていないこと

6. 俗用されているものでないこと

これ以外に俗説として、ローマ字表記した時に頭文字が、明治のM、大正のT、昭和のS、平成のHと被らないように、ということも言われています。要領に明記されているわけではありませんが、実務的な事情を考えれば当然考慮される要素でしょう。

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アンケートの結果を見ると分かるのですが、意外と知られていないのが、6の「俗用されているものではない」という条件です。

この俗用の範囲は、「人名」「地名」「商品名」「企業名」が含まれます。これがどういうことか。

予測は不可能です

まず人名ですが、日本人の名前、これは苗字だけで30万種類があると言われています。名を含めればこの数は倍じゃきかないでしょう。次に地名、日本の地名はニックネームのようなものを含めなければ約1000万種類あると言われています。そして「商品名」、これが一番多くて現時点で正確な数はわかっていません。最後の「企業名」ですがこれは約420万社、これも役所に届け出されてるもののみの数です。これらから、「漢字2字」「元号にふさわしい言葉」で絞り込みをしたところで、膨大な数の「使えない言葉」が出ることが容易に想像できます。

また、「読みやすい」という条件がありますので、難しい漢字は使えません。江戸時代の「寛永」とか、ウチの父親が大好きな「慶應」とかも、現行法下では候補から外されてしまうはずです。

この法律ができてから、実際これに即して元号を制定するのは今回で2回目となります。30年間の間にふえた企業名もそうですが、キラキラネームの流行だとか、大陸っぽい商品名の増加とかの影響で、選定の幅はさらに狭まっている事が予想されます。

要するにですね、ちょっと人が考えたらすぐ浮かんでしまうような漢字の組み合わせは、既に何らかの形で使われてしまっている可能性が高いので、有識者の人たちは、おそらく突拍子もない、一見意味が通らないような組み合わせの2字を持ってくるでしょう。そうなると、事前予測はその有識者のプロファイリングでもしない限り、ほぼ不可能です。

「新元号に使われそうな漢字」を予想するならば、意味があるかもしれないですね。そんなアンケートが面白いかどうかはわかりませんが。

ともあれ、新元号発表が4月1日、エイプリルフールということもあり、伊集院光さんもラジオで言ってましたが各企業が広告のネタとして、あるいはYoutubeなどで「なんちゃって元号発表」みたいなことが流行しそうで、考えるだけでゲンナリします。

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