Who is “The Child”.
Disney+で配信がスタートするや否や、巷のスターウォーズファンの話題を一気にかっさらってしまった感のあるドラマ『マンダロリアン』。
前記事でご紹介した通り、筆者も御多分に漏れず夢中になって鑑賞しているわけでございますが、ドラマの好発進共に、SNS界隈で一気にネットミーム化したのがこのドラマに登場する「ベイビーヨーダ」ことThe Child。
ファンが通称として名付けた「ベイビーヨーダ」の名が示す通り、スターウォーズで最も有名な人間以外のキャラクターといって過言ではない、ジェダイマスターのヨーダと同じ種族と思しき外見上の特徴を持つ幼子のことですが、愛らしい容姿と、健気な立ち振る舞いによって早くもSWファンの人気は大爆発といった様相を呈しております。
しかし、この子は一体何者なんでしょうか?
おそらくはドラマ『マンダロリアン』本編の、ストーリーの中核となるであろう謎であると考えられますが、筆者の乏しいSW知識を駆使して、現時点で考察できることを無理くりまとめてみました。お得意のポンコツ予想の類と思って、ハックス将軍の忠誠心くらい軽い気持ちでお読みいただければ幸いです。
前提条件
まず独自の推理をする前に、ドラマ本編でこのキャラクターに与えられている設定、及び産みの親である製作者が何を語っているかを踏まえる必要があります。
現時点(2019.01.09)で配信済みのエピソードは第1話と第2話のみ。そこで視聴者に示された「The Child」についての情報は、容姿やカエルを食べることのほかには「50歳であること」そして「フォースらしきものを使えること」のみです。そしてこのドラマのショーランナーであり、ほぼ全てのエピソードの脚本を担当しているジョン・ファヴローが、USAトゥデイのインタビューにて「The Childはヨーダの子供ではない。」ということを明言しています。
The Childの現時点でのプロフィールを箇条書きにすると以下のようになります。
- ヨーダと同じ種族である
- 50歳
- フォースを使える
- 父親はヨーダではない
上記を前提として話を進めます。
謎に包まれたヨーダの種族
赤子に見えるのに50歳であること、そしてフォースが使えること、これらは通常であれば前提条件とするにも首を傾げたくなりそうな項目ですが、これはSWについてちょっとマニアックな知識を持つ人間からすると、一番最初の「ヨーダと同じ種族である」の一言で「そう来たか」と納得できてしまうものなんですね。
スターウォーズの世界は、画面に一瞬映りこんだだけのようなキャラクターにも、細かく種族名や出身地、半生などのプロフィールが公式に設定されていることが大きな特徴なんですが、実は押しも押されぬ主要キャラクターであるヨーダの種族名と出身地は、シリーズが開始して40年以上経過した現在でも「不明」のままなのです。
1977年以降、映画シリーズ9本、スピンオフ2本、その他テレビドラマやアニメシリーズなど数えきれないほどのスターウォーズ関連作品が世に出ましたが、ヨーダと同じ種族のキャラクターは、『マンダロリアン』のThe Childを除けば、『エピソード1/ファントム・メナス』に登場したジェダイ最高評議会のメンバー、ヤドルのみです。そして彼女(ヤドルは女性です)の種族名もまたご丁寧に「不明」設定とされていますので、ヨーダの種族、彼らの出自はいわばスターウォーズ世界に「あえて」残された謎といっても過言ではありません。
判っているのは、ヨーダはもちろん、ヤドルもまた非常に長命であったこと。ヨーダがダコバで亡くなったときの年齢は900歳、ヤドルはプロフィールブック等によると任務中に命を落としているのですが、享年483歳であったとされています。The Childの成長が、誕生から50年経過した状態でまだ幼年期だとしても、違和感はないわけです。
またヨーダがいかにフォースに精通していたかは今さら語るべくもありませんが、ヤドルも前述した通りジェダイのトップの1人であったわけですから「ヨーダの種族はフォースとの関りが深い」という推論もごく自然な帰着といえます。
出生年に手がかりが?
とはいえ、誰かが出産しないと赤ちゃんは普通生れないわけですから、The Childはヨーダの子供でないとするなら、ヤドルの子供なんじゃないか、と考えたくなりますが、この推論もあまり説得力がありません。
まず、The Childが誕生したのは、スターウォーズ暦で何年かというところをハッキリさせましょう。これは推定可能です。
先ほど紹介したジョン・ファヴローが、『マンダロリアン』は『エピソード6/ジェダイの帰還』から5年後が舞台とインタビューで語っています。スターウォーズ世界の暦は、最近ディズニーがなんかシークウェル基準にしたのを完全にシカトするとして、エピソード4のヤヴィンの戦いを起点にして以前をBBY(Before the Battle of Yavin)、以後をABY(After the Battle of Yavin)と表すのですが、エピソード6が4ABYですので、『マンダロリアン』は9ABYの話ということになります。
そうするとThe Childはちょうど50歳ということなので、逆算すると41BBYに誕生したということになります。41BBYというとヤドルは存命中(当時468歳)なんですが、彼女は齢100歳ぐらいの頃からジェダイとして活躍していたとプロフィールにありますので、「結婚してはならない」というジェダイの掟のせいで、41BBYに子供をつくることはできなかったと考えられるわけです。この掟はあまり厳しいものではなくて、例外もいるみたいですが、仮にも最高評議会のメンバーともあろう人物が掟を破るとは考えにくいですよね。
ヨーダの子供でもなきゃ、ヤドルの子供でもない。
長々と書き連ねて来て、推論の結論が「要するにわからない」だと石を投げられそうですが、ここまでお読みいただいた方に何のお土産もないまま帰って頂くわけには参りません。
実は推理の果てに辿り着いたThe Childの出生年である41BBY。スターウォーズマニアにとっては非常に重要な年なんですね。
もったいぶらずに言うと、あのアナキン・スカイウォーカーが、生まれた年も41BBYなのです。
プリクエルならびにオリジナルトリロジーにとっての最重要人物アナキン・スカイウォーカー。
そして思い出して頂きたい。アナキンの出生にまつわる最大の謎を。
母親のシミ・スカイウォーカーは普通の人でしたが、彼女は「父親はいない。自然に身ごもった。」と弁明し、現在でもアナキンの父親は誰か、そもそも存在しているのかは判らないままなんですね。
全宇宙のバランスを左右する「選ばれし者」とまで称された計り知れないほど強大なフォースの持主であったアナキンと、訓練などを介さず本能のまま力を使いこなすThe Child。フォースの申し子とも言うべき彼ら2人が同年に謎に包まれた状態で生まれているのは、ただの偶然なのでしょうか。
ひょっとすると『マンダロリアン』は、辺境の星で名もなき主人公が展開する小規模なストーリーのようにみえて、スターウォーズを取り巻くフォースの正体という最大の謎に迫っていく物語なのかもしれない。といったところで、考察の1回目はこのへんでお開きにさせて頂きたいと思います。
何分筆者の拙いSW知識を頼りに書き連ねておりますので、事実誤認等多々あるかと存じますが、そういったものを発見された際はコメントなどでそっと優しく教えて頂けますとありがたいです。
お読み頂きありがとうございました。