【配信スタート】NETFLIXオリジナルアニメ『ULTRAMAN』を観てみたよ

【配信スタート】NETFLIXオリジナルアニメ『ULTRAMAN』を観てみたよ
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『ウルトラマン』が初めてお茶の間に登場してから、およそ半世紀。コミック『ULTRAMAN』(月刊ヒーローズ連載)が誕生しました。

手がけたのは『鉄のラインバレル』でその名を馳せた清水栄一・下口智裕コンビ。

コミック版『ULTRAMAN』が描くのは、ウルトラマンが怪獣たちを撃退し、地球を去ったその後の世界。強化スーツを身に纏って戦う本作の主人公早田進次郎は、『アイドルと付き合えたらいいのになあ。」なんて等身大の悩みを抱えた一人の高校生です。彼の父親の名前はハヤタ・シン。かつてウルトラマンと同化していた男。ウルトラマンが去った後も、光の巨人が遺したパワーの欠片はハヤタ・シンの体内に秘められています。そして、その父親譲りの超常の力を身に宿す進次郎。『ULTRAMAN』は、まるで宿命づけられていたかのような、彼の戦いの物語です。

現実(リアル)と地続きのようでいて、ウルトラマンの存在を既定事項とする本作の新たな世界観は、当時ウルトラマンに熱狂した世代だけでなく、多くの若者たちからの支持を受け、コミック累計発行部数が280万部を超えるヒット作となりました。

そして2019年、いよいよNETFLIXオリジナルアニメが配信開始。本稿はそのアニメ版『ULTRAMAN』のレビュー記事です。(以上公式ページのイントロダクションを抜粋、加筆しています)

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実は筆者、このアニメの原作となるコミック版『ULTRAMAN』が、漫画界だけでなく、筆者が主に生息している玩具界を賑わす存在だということを数年前から認識していたにも関わらず、ここに至るまでなんとなくスルーしていたという経緯がございます。

普段から特撮映画および漫画好きを公言していますし、ウルトラマン80に物事の道理を教わった世代としてはあるまじきことかもしれませんが、単純に嗜好の問題として実写のコミカライズに食指があまり動かないんですね。

ただ、それが今回、CGアニメとして映像化され、NETFLIXのオリジナルコンテンツとして、久々にウルトラマンが世界に本気で打って出るということで、後ノリ上等と、シーズン1を全て視聴、ならびに原作コミックを現時点での最新刊13巻(2019.4月)まで読了してみました。

大きくならないウルトラマン

おそらく本作を初めて読んだり、視聴したりした多くの人がポイントとして挙げると思いますが、『ULTRAMAN』に登場するウルトラマンは巨大化しません。あくまで、現時点では、ですが、一人の人間が「変身」によって巨人に変化する実写ウルトラマンとは異なり、本作の主人公たちは、銀と赤にカラーリングされたパワードスーツを身にまとって戦うので、自然そのサイズは普通の人間と大差ないことになります。

「大きくないウルトラマンなんて、ウルトラマンじゃない。」なんて特撮ファンの声も聞こえそうですが、おそらく本作は門扉を広げ、幼少時にウルトラマンに触れてこなかった人に対してもアピールするというコンセプトで企画されている類の作品であるため、ウルトラマンの重要なアイデンティティの一つである「巨大化」をオミットしたことは、やり方として「全然アリ」だと僕は思います。

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昔から冗談めかしてよく言われていることですが、ヒーローが巨大化した状態で戦ってしまうと、当然舞台となる街のダメージも大きくなります。あくまで「子供向け」という大義名分がある実写シリーズなら問題ありませんが、本作のようにリアルっぽい物語にしようとすればするほど、戦いの二次被害であるとか、ひいては自警団的ヒーローの存在意義だとか、そういった話を多めにしなければならなくなります。

ちょうど良い例として現在連載中の奥浩哉さんの『GIGANT』はそんなニュアンスが強い物語で、それはそれでエンターテインメントとして成立していると思いますが、『ULTRAMAN』は、「カッコイイヒーローが、恐ろしい怪獣たちと死闘を繰り広げる。」ことこそが主題の作品ですので、話を小難しくしないためにも、物理的に等身大にしてしまった方が風通しがいいのでしょう。

また、ハヤタ隊員をはじめ、原作の原作となる実写シリーズ由来のキャラクターはそれこそ数限りなく登場しますが、その扱いや解釈はかなり自由に再設定されています。前述したパワードスーツの件も含めて、実写ウルトラマンを踏襲したシリーズとして構えるのではなく、ウルトラマンモチーフの、全く新しいヒーローの物語だと思って鑑賞した方が純粋に楽しめるかもしれません。

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必見のアクションシーン

コミック版も激しいアクションシーンが見所ですが、本作は3DCGでモデリングされたキャラクターを、モーションキャプチャーで動かすという手法をとっているため、とにかく数あるアニメ作品の中でも「格闘映画」としての見ごたえが突出しています。本作のように、CGに原則現実的に可能な動きをさせながら、要所でアニメーション的派手なシーンを挿入する演出方は、今を時めくマーベル映画が好んで使っている手法でもあります。

また、コミック版を手掛けた清水栄一・下口智裕両氏により、清々しいくらいカッコよくデザインされたウルトラマンスーツやガジェットが、そのまま立体化され、暴れまわっているところを見れるのも大きな魅力です。緻密に描きこまれた積層構造、何のためかは分からないけど好感の持てる突起類、玩具コレクターとしてはかなり関連商品の購買欲をそそられます。

また夜間の戦闘などで、金属で出来ているスーツに映りこむ、屋外広告や、スペシウム光線の青白い光のように、アニメーションながら、実写さながらの「質感」を感じる美しい演出も大きなみどころと言えます。同好の士として製作者のこだわりを非常に好ましく思います。

衒いもなく、男の子が好きなものを大量に詰め込んだNETFLIX『ULTRAMAN』。特撮ファンだけでなく、SF・アクション映画好きにもおススメの作品です。

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