オットー・リリエンタール
長い間人類は、鳥のように自由に空を飛ぶことを夢見てきた。
いざ空を飛ぶ装置を造ろうとしたとき、その姿は自然と鳥に似ていた。
オットー・リリエンタールはグライダーを発明した。
鳥の研究から始めたことは他の研究者と同じであったが、彼が抜きんでていたところは「羽ばたき」を早い段階で諦めて滑空に専念したことである。
実はこの鳥の「羽ばたき」機構は現代になっても人間の作る装置では容易に再現できない、複雑なシステムなのである。
リリエンタールは多岐にわたる工学技術や知識を持っていて、特に蒸気機関において安定性の高い製品を開発。
そこから得た利益を飛行実験につぎ込んでいた。
1896年、試験飛行中の墜落により落命する。享年は48歳であった。
彼の1,000回を超える試験フライトに基づいた研究成果は、やがてライト兄弟に多大な影響を与えることになった。
飛行機の歴史において、ここにリリエンタールの存在の重要性がある。
実機メーヴェ
グライダーといえば、近年、宮崎駿の『風の谷のナウシカ』に登場する、超軽量飛行機メーヴェを実際に作ってしまった男がいた。
東京藝術大学出身の八谷和彦さんが、数百万円の私費を投じて進めている「OpenSkyプロジェクト」だ。
『ナウシカ』の原作コミックによるとメーヴェの全長は6メートル。重量はわずか12キロと自転車なみ。
これに対して八谷さんの飛行機は、全長10メートル、重量は60キロと一回り大きい。
だがこのサイズでジェットエンジンを搭載し、短距離ながら飛行可能である。
プロジェクトは現在(2019年1月)も着々と進行中。
八谷さんとリリエンタール、同じものを見ているに違いない。
彼のような男が日本にいて嬉しい。