【MCUフェイズ4参戦】いつか見たヒーロー『Moon Knight ムーンナイト』について

【MCUフェイズ4参戦】いつか見たヒーロー『Moon Knight ムーンナイト』について

去る2019年8月23日、アメリカ・カリフォルニア州アナハイムで開催された、ディズニーの大型イベント「D23 Expo 2019」。

そこで行われたディズニー独自の映像配信サービス「Disney+」のプレゼンテーションで、既にラインナップが決まっていたマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)フェイズ4に追加する形で、『シーハルク』、『ミズ・マーベル』、そして『ムーンナイト』という3つのタイトルが電撃発表されました。

いずれも「Disney+」のみで視聴可能なオリジナルドラマで、キャスティングや配信開始時期などは未だ明らかになっていません。

個人的に、エンターテインメント作品のメインストリームをディズニーが一手に牛耳っている現状をあまり快く思っておりませんので、映画作品はともかく「Disney+」については、こんなブログをやっておきながらアレですが、(日本に上陸したとして)加入を躊躇うものがあるというのが偽らざる本心なわけでございますが、『シーハルク』と『ミズ・マーベル』はともかく、『ムーンナイト』の実写化作品が作られてしまうとなると、その考えも改めざるを得ず、ディズニーの巨大な掌でいいようにコロコロと転がされる我が身を悔しく思います。

というのも、このムーンナイト、筆者のようにこじらせたアメコミファンや、トイコレクターの目から見て非常に魅力的なキャラクターなのです。

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ムーンナイトとは

白いボディスーツとケープ。フードの下は覆面で表情は見えず、ただ眼光のみが鋭く光っている。コミックを含めて際立った出演作がないにも関わらず、ムーンナイトのアクションフィギュアやスタチューは常に一定の人気があることが証左するように、奇抜な装いをするものが少なくない多士済々のマーベルキャラクターの中でもムーンナイトのヒロイックな造形は、万人受けしやすいデザインであると言えます。

1975年8月、ライターのダグ・モエンチとアーティストのドン・パーリンによって生み出されたムーンナイトは、『Werewolf by night#32』で誌面デビューを飾りました。最初は主人公の狼男を捕獲するべく悪の組織コミッティーが雇った傭兵、ヴィラン(悪役)として登場しますが、途中で狼男の境遇に義憤を覚えて「光落ち(悪役が善玉に変わること)」し、彼と共闘します。アイアンマンのように時を経てデザインが大きくブラッシュアップされていったキャラクターも少なくない中、ムーンナイトは初登場時から現在まで、基本的なデザインはあまり変化していません。それだけ(容姿は)完成されたキャラクターであるわけです。

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日本との意外な関係

日本のコミックファンの人気も高いムーンナイトですが、実は日本とムーンナイトは浅からぬ縁があります。

ムーンナイトのデビューから間もない1978年、マーベル・コミックスと東映はむこう三年間、東映はマーベルのキャラクターを自由に使用できるという契約を結びます。DCのバットマンやスーパーマンの後塵を拝す形となっていたマーベルのアジア展開戦略のひとつでした。巨大ロボ・レオバルドンで有名な「東映版スパイダーマン」はこういった経緯で誕生したわけですが、実はこの「スパイダーマン」の後に東映による実写テレビシリーズが構想されていたキャラクターが、このムーンナイトだったのです。その後、実写化の計画は東映側の思惑で頓挫してしまいますが、1979年8月から1980年7月までの1年間、小学館の児童誌「てれびくん」にて桜多吾作先生によるオリジナルコミックが連載されました。

われわれ(いい歳した)日本人が、ムーンナイトの姿を見てどこか懐かしさを覚えるのは、月光仮面やキャシャーンといった時系列で先輩に当たる日本原産の白装束ヒーローにどことなく似ているからという理由だけでなく、一年間、限られた媒体の上とはいえ、ムーンナイトが日本で活躍していたことが確かにあり、その姿をどこかで目にしていたからかもしれません。

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予想される展開

さて、このムーンナイト、邦訳コミックをお読みになった方や、ネットで調べたりされた方は既にご存じだと思いますが、若干精神に問題を抱えたヒーローです。

キャプテン・アメリカ、ウルヴァリン、スパイダーマンの三人を自分の中の多重人格としてしまっているブライアン・マイケル・ベンディス版(邦訳コミックが発売中です)が最も有名ですが、こういった「解離性同一性障害」の他にも、過剰な暴力衝動や悪人相手には殺人もいとわない冷酷さなど、一口にヒーローと言い切るにはちょっと抵抗があるキャラクターです。

故にNETFLIX版『デアデビル』や『パニッシャー』のような大人向けのダークなストーリーテリングも可能なわけで、ディズニー製作とはいえ従来の「誰もが楽しめる」作品とは一線を画すようなシリーズになるのではと、映像配信サービスというフォーマットも併せて期待できます。

また、これは完全に余談ですが、マーベルがこれまでに製作を発表したラインナップ、特に「Disney+」で配信予定のドラマシリーズのタイトル、登場が噂されるキャラクターや『エンドゲーム』より生き残ったキャラクターのリストを見てみますと、ホークアイにケイト・ビショップ、ワンダにハンク・ピムにアントマンにワスプ、そしてここにきてムーンナイトが来るとなると、MCUはドラマの方で「ウエストコースト・アベンジャーズ」という、ホークアイをリーダーとする西海岸を守るチームアップをやる気なんじゃないかなと予想できます。

製作側はアベンジャーズの再登場を名言してますし、かといってキャップやアイアンマン抜きの本家アベンジャーズも考えにくいので、我ながらいい線いってる予想なんじゃないかしらと思っています。(我がポンコツ予想は当たった試しがありませんので、話半分に聞いておいてくださいね。)

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