触らなくても神は祟るぜ!『イコライザー2』(2018)レビュー

触らなくても神は祟るぜ!『イコライザー2』(2018)レビュー
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前作との違い

『イコライザー2』序盤、初老に差し掛かったマッコールさんの昼は気がきくタクシードライバー。夜は自警団という二重生活が丹念に描かれます。

前作では、窮状に陥った知り合いを見るに見かねて、一肌脱ぐと言った感じでしたが、今作ではそれで味を占めた、じゃなかった吹っ切れたのか「悪党プチのめし」をライフワークとしているご様子。

同時進行で複数の案件をテキパキ逡巡なく片付けていく様は、人助けというよりも、「むしろ趣味でやっているのでは?」という懸念を観客に抱かせます。

前作のマッコールさんは「こういう人いたらいいな」って感じの人でしたが、本作は「実際いたら怖すぎるかもしれん」という印象。

もしかすると、本国での本作の評価が今ひとつ振るわなかった理由はこのへんの主人公のモラルハザード感にあるかもしれませんが、僕にとっては、そここそが良いところです

似てる二人との比較

2012年のトム・クルーズ主演「アウトロー」を皮切りに、「ジョン・ウィック」「イコライザー」と、風合いがどこか似ている私刑執行人もの映画が公開され、そしてそれぞれがスマッシュヒットしました。

これら映画の主人公ジャック・リーチャー、ジョン・ウィック、スティーブ・マッコール。

三人とも昔は凄腕のプロフェッショナルで、劇中、法律の及ばないところで自らの正義を貫くところは同じ。

ですが、本作『イコライザー2』で明らかとなったのは、マッコールさんの闇の深さは他の二人の比ではないということ

普段は温厚な良い人を装っているけれども、この男は世の中の人間を「獲物」と「それ以外」としか見ていないのではないか、そう思えるマッコールさんの狂気が何度となく垣間見えるのです。

彼に目をつけられたら最後、心の底を氷で触れられるような冷たい暴力描写を得意とするアントワン・フークア監督の手腕もあいまって、悪人が気の毒にすら思えてきます。

微笑みながらの宣言

“My only disappointment is that I only get to do it once.”

(意訳)唯一のガッカリポイントは、俺が一回しかソレをできないことだ。

この台詞が吐かれる場面、一連のシークエンスなんか特に最高です。

狩る側と狩られる側の逆転。観客は、この場面でこの映画は、友人の仇討ちの映画ではなく、怪物対悪人のモンスターバトルだったのだと気付かされるでしょう。

白眉のラストバトル

クライマックスバトルシーンもこの映画の白眉です。

今夏におこった西日本豪雨の記憶も生々しい我々日本人にとってはなおさら、いったいどうやって撮影したのか、見たこともないような修羅場が繰り広げられます。

き荒れる嵐のように襲いかかるマッコール。

一人また一人と大変な目に遭う悪党たち。

面白いことに主人公の危機感はほぼゼロ。

こいつらではマッコールを止められない。

最後の一人がやられる段になって、ああ、っき取り上げた台詞は、マッコールさんの本心だったんだなあと、呆気にとられながら腑に落ちる、そんな映画です。(どんなだよ)

清々しいエンディングや、、主演監督の発言からおそらく3はないでしょううが、怪獣映画のようにシリーズ化して何本でも作って欲しいです

86点

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