カベオモ映画の恐怖
2017年の春頃のことです。
筆者の職場（テレビ関係）に当時入社したばかりの、Sさんという20代の女性社員がいました。
Sさんは口数が多いタイプではなかったので、部署が異なる筆者とはほとんど交流がなかったのですが、彼女が学生時代に映画館でアルバイトをしていたことがあり、アメコミ映画が結構好きという噂が伝わってきまして、一応先輩の1人として、ちょっとコミュニケーションを図ってみようかなと、ある日廊下ですれ違ったSさんに映画の話題をふってみたのです。
僕「Sさん、アメコミ映画好きなんだって？」
S「あ、はい。結構好きです。」
僕「『スーサイド・スクワッド』は観た？」
S「観てないです。」
僕「DVD、ちょうどKさん（同僚）から戻って来たから貸そうか？」
S「いや、いいです（きっぱり）。」
僕「え、なんで？」
S「観た友達が『白い壁を見ていた方が面白い。』って言ってたんで。」
読者諸兄の中に同作のファンがいたらお気を悪くされないでほしいのですが、彼女の（正確には友達の）、映画を評して「壁を見ていたほうが面白い。」というフレーズが妙に可笑しく印象的で、このやり取り以降筆者の職場ではちょっと出来がアレだったりする映画のことを「カベオモ映画」と呼びならわすようになりました。
今週末（2019年6月21日）公開予定の『X-MEN：ダーク・フェニックス』の記事のはずなのに、なぜこんな話をしているかといいますと、つい昨日（2019年6月18日）、上の会話にも登場した職場の映画友達Kさんが、ニヤニヤしながら僕の肩をポンと叩いて「X-MENの新作、カベオモくさいですね。」と言ってきたんですね。
彼（Kさん）は、僕がアメコミ好きで、中でもマーベルのX-MENに思い入れが強いことを判っててこういうちょっかいを出してくるわけですが、彼の論拠となったのが、悪評高い米有名レビューサイト「Rotten Tomatoes」のレーティング。アメリカでの劇場公開後10日間ほど経過した現時点（2019年6月17日）で、『X-MEN：ダーク・フェニックス（原題Dark Phoenix)』のポイントは批評家（Critic)によるトマトメーターが23％、観客（Audience）スコアが64％となっており、これはお世辞にも高い数字とは言えません。（※どちらも満足度の割合ですので100％に近い方が良い）
ちなみに元祖「カベオモ映画」となった『スーサイド・スクワッド』のレーティングはというと、現在【批評家20％：観客67％】という数字ですので、『X-MEN：ダーク・フェニックス』は現時点の観客スコアにおいて、元祖（そろそろ怒られるぞ）を下回ってしまっているという、本作を楽しみにしていたファンにとっては早くも気持ちが暗澹としてくる数値なのです。
映画を観る前から他人が下した評価を気にして一喜一憂するなんて愚かしいこと、ファンとして修業が足りない、なんて高次元の意見もおありでしょうが、とはいえAmazonや食べログなどで比較検討中の案件が星いくつか気にならない人は少ないわけで、知っちゃった手前気にしないフリをするのもまた難しいですよね。
というわけで本稿では、『X-MEN：ダーク・フェニックス』の前評判が低くて心配でしょうがない貴方に向けて、米レビューサイトに寄せられた本作への「好意的なレビュー」を抜粋して（翻訳して）ご紹介します。いつの世も万人受けのしない、アクの強い映画というものはままあるもの。はたまた一見さんには厳しくとも、リテラシーが高い人にとっては傑作なんて映画もよくあります。この映画を好きだという人たちの感想にこそ、『X-MEN：ダーク・フェニックス』を楽しく観るコツが隠れているはず。
それではいってみましょう。
海外の好意的な反応
「批評家たちは本当に私と同じ映画を観たのかな？『X-MEN：ダーク・フェニックス』は超よかったよ！批評家の言うことは気にしないでいい。俳優陣は良かったし、映画のテンポも良かった。ジェームズ・マカヴォイは際立ってたね。」評価5段階中5
「この映画はファンにとって完ぺきなX-MEN映画シリーズ最終章です！コミックもアニメも観ていない批評家のレビューなど読んではいけません！とにかく凄いよ！」評価5段階中4
「ストーリーのことは忘れて、ただ映画を楽しもう！
「優れた映画。脚本があまり良くないにもかかわらず素晴らしい。
「（これまでの映画で起こったことを）
「かなりしっかりした作りの映画。良い演技に良いアクション演出。
「これは最高のアメコミ映画か？それは違う。原作に完璧に忠実か？それも違う。
「あなたがMCUの映画のような、強引なコメディを期待していない限り、
「アクションシーンだけみると、ダークフェニックスはこれまでの、X-MENで最高の映画、アクションは私は10.段階で9をあげられる。」10段階中7
「視覚効果と、音楽が素晴らしい。
「ジーン・グレイ役のソフィー・ターナーが素晴らしかった。
「前作（エイジオブアポカリプス）より、
「ビースト最高。」10段階中10
まとめ
いかがでしたか？
レビューを読んでいくと、ストーリー展開はちょっと駆け足っぽいですが、俳優陣の演技、サウンドトラック、それに何と言ってもアクションを絶賛している人が、沢山いましたね。低評価をつけている批評家へ敵意を剥き出しにしているコメントも目立ちました。何はともあれ、読者諸兄の為とか言いながら、萎えそうな自分の気持ちを奮い立たせるために書き始めた本稿ですが、再び公開が楽しみになってきました。
そもそも宇宙からフェニックスの形したパワーが飛んできて、キャラクターに乗り移るなんて、実写でどう説明しても、知らない方が急に消化するのは無理ですよね。あらかじめこの映画の原作ダーク・フェニックスサーガはwikiなどでそのあらましを読んでリテラシーを持って臨むのが良さそうです。
まとめるとですね、『X-MEN:ダーク・フェニックス』鑑賞前の心構えは、キャラクターの凄いアクションと、カッコいい音楽を楽しみに行く、ってな感じが丁度良いようです。前評判に踊らされ過ぎることなく、２０世紀ＦＯＸ体制のＸ－ＭＥＮの最終章をしっかり見届けましょう。多分に自戒の念を込めまして本稿を終えたいと思います。お読み頂きありがとうございました。
