【ホットトイズだけじゃない!】かくも素晴らしき「洋画系12インチ・アクションフィギュア」の世界

【ホットトイズだけじゃない!】かくも素晴らしき「洋画系12インチ・アクションフィギュア」の世界

「洋画系」12インチ

こないだのホットトイズの記事が、一部で好評でしたので、調子に乗って今回はそのホットトイズが最も得意とする「洋画系12インチ・アクションフィギュア」メーカーの特集です。

12インチアクションフィギュアとは、読んで字のごとく、12インチ(1インチ=2.54センチメートル)くらいの大きさの可動フィギュアのことです。これは厳密に12インチ、30.5センチメートルということではなく、だいたいこのくらいの大きさということを表していまして、他の言い方として「1/6スケール」とか、欧米では「sixth scale」という言い方をします。こちらの言い方のほうがより正確に見えますが、多くの場合フィギュアのベースとなる素体の都合上、「きっちり1/6」ということではないので、どちらも「だいたい」ということに変わりはありません。

記事名に「洋画系」とわざわざ銘打っているのはですね、現在12インチアクションフィギュアというものは、メーカーによって扱う題材が非常に多岐にわたっておりまして、ある程度ジャンルを絞らないと、とりとめないまとめになってしまうんですね。

また筆者の嗜好として、「洋画系以外」をほとんどおさえてこなかったため、ちょっとした歴史や豆知識みたいなもんを織り交ぜようにも、さっばりわからないという事情もございます。

まあ、そんなどうでもいいことはおいといて早速はじめましょう。

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先駆けはメディコムトイ

2019年現在でこそ、今回の主題である「洋画系(海外作品)12インチ・アクションフィギュア」及びそのコレクターは、映画ファンの間で特段珍しい存在ではなくなりましたが、その歴史はあまり長いものではありません。

前の記事でもちょっと触れましたが、1990年代、アメコミ「スポーン」を題材にしたフィギュアシリーズの大ヒットに伴い、世界的に「(大人の男の)収集品としての玩具」というニーズが生まれます。そしてそれまで一部の好事家のみが収集を楽しんでいた米ハズブロ社のアクションフィギュア「GIジョー」から派生する形で、各国の警察や軍隊をモチーフにしたミリタリーフィギュアのブームが到来。香港や日本のメーカーがこぞって発売したこれらは、その大半が、衣装や装備品のメーカーを跨いでの互換性を意識してのことか、GIジョーに倣う形の12インチという規格で発売されました。

やがて90年代中頃から2000年代にかけて、これらミリタリーフィギュアのために開発された素体(フィギュアの肉体部分)をミリタリーではないフィギュアに転用する動きが各メーカーで始まります。洋画系アクションフィギュアは、こういった動きの中の必然の帰着として生まれたものです。このムーヴメントは世界で同時多発的にはじまったものですし、所謂大人向け、子供向けの線引きも難しいので、どこが最初、というのがなかなか判然としないのですが、現在確認できる範囲では、日本のメディコムトイ(旧メディコムエンタープライズ)が1995年、子供用の玩具としてではなく大人のコレクター向け洋画系フィギュアとして発売した「リアルアクションヒーローズNo.001ジャッジ・ドレッド」が、時系列的に一番古く、現在までにいたる洋画アクションフィギュア潮流の先駆けではないか、と考えます。

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で、「スポーン」を契機に始まったこの玩具ブームも、2000年代中頃になると鎮静化、東京のあちこちあったトイショップも軒並み閉店や縮小という憂き目に合うわけですが、2008年公開の映画『ダークナイト』、そして何といってもMCU第一作の『アイアンマン』から始まった空前のアメコミ映画ブームにより、沈静期にも一社気を吐いていた香港のホットトイズを中心に「洋画系12インチ・アクションフィギュア」は往時を凌ぐ勢いを得て、現在に至る、というわけです。

以上をふまえまして、次項からは現在このジャンルを扱っている、ホットトイズ以外のメーカーを筆者の印象やと共にご紹介します。

threezero(スリーゼロ)

香港が拠点のthreezeroは、2000年に1/6スケールのミリタリーフィギュア用の精巧な装備品とダイキャスト製の武器を発売し、コレクターの間で一躍有名になりました。その後12インチ・アクションフィギュアだけでなく、アーティストとコラボしたビニール製のトイなどを展開、やがてアシュレイ・ウッドと共同で立ち上げたthreeAというコラボレーションブランドでデザイナートイ専門メーカーとしての活動をメインにして行きます。

 

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時は流れて、2013年。複数の版権フィギュアを発表し、threezeroとしての活動をリブート。精力的な商品リリースで現在業界内でホットトイズに次ぐ地位を確立しています。ウォーキング・デッドやゲーム・オブ・スローンズ、ブレイキングバッドなどのドラマフィギュアだけでなく、トランスフォーマーやFalloutのパワードスーツなどのロボット系フィギュアも得意としています。ちなみに同社のロゴは、香港発アートフィギュアの火付け役、マイケル・ラウがデザインしたものです。

 

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ASMUS TOYS(アスモス トイズ)

香港の新興ブランド、アスモストイズは2012年頃に活動を開始。threezero同様、当初は12インチフィギュア用の衣装を販売していましたが、2014年に版権フィギュアシリーズをスタート。小さいメーカーながら、『ロード・オブ・ザ・リング』、『ホビット』、『ヘイトフル8』といったアメコミ映画とは離れたところで少なくないファンが常にいるラインナップが特徴です。

 

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このメーカーは、フィギュアの衣装に用いる合成皮革を独自開発し、数年で劣化してしまうと言われている素材の延命に力を入れたりしており、そのコレクターファーストの姿勢に非常に好感が持てます。

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STAR ACE TOYS(スターエーストイズ)

株式会社エクスプラスが輸入代理店を務めるこちらも香港の新興ブランド、スターエーストイズ。東京コミコンでもブースが出ていましたね。こちらは2014年、『ハリーポッター』のフィギュアシリーズをスタート。続編映画にあたる『ファンタスティックビースト』(2019年現在12インチの版権はホットトイズへ移行)はもとより、オードリー・ヘップバーンやマリリン・モンローなど、ハリウッドの伝説的女優をモチーフにした12インチフィギュアのリリースを精力的に行なっています。

 

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筆者の印象も、他社と比較して女性モチーフの製品の割合が高いイメージです。同社製のハーマイオニーのフィギュアは非常に人気があります。

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BLITZWAY(ブリッツウェイ)

韓国発の『ブリッツウェイ』は商品点数こそ多くないものの、2011年フィギュアシリーズ第一弾として発売された『スカーフェイス』のトニー・モンタナから、そのクオリティの高さが話題となりました。アクションフィギュアのラインナップも、『カリートの道』、『ファイトクラブ』、『ゴーストバスターズ』、『羊たちの沈黙』、『スクール・オブ・ロック』と映画ファンならニヤリとするツボを押さえたものばかり。

 

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筆者は同社製のレクター博士、拘束着バージョンを勢いで購入してしまいましたが、怖すぎて子供が怯えるので飾っていません。

ENTERBAY(エンターベイ)

2005年にスタートしたエンターベイは、NBA選手をモチーフにした12インチフィギュアで独自のポジションを築いていますが、時々思い出したように映画フィギュアも発売しています。その時々発売する映画フィギュアが『24』のキーファー・サザーランドや、『メン・イン・ブラック』のトミー・リー・ジョーンズといった他社があまり出さない俳優モチーフの製品が多いので、コレクター的に無視できない存在です。頭部の造形は、ホットトイズ、ブリッツウェイなどと並んで、業界トップレベルのクオリティ。価格もトップレベルですがね。

 

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SIDESHOW(サイドショウ)

 

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1994年設立、アメリカのメーカーです。本格的に映画版権フィギュアの製品化を始めたのは1999年以降。アメリカにおいては同ジャンルの先駆け的メーカーです。同好の士の間では長らく「サンプルと製品版の落差が激しい」ことで有名でしたが、今思うと、いかにもアメトイ的な品質はある意味「味わい」だったのかもしれません。近年はクオリティの面でかなり改善がみられますが、パートナーシップを結んでいるホットトイズにこの12インチ・アクションフィギュアという1ジャンルを任せて、本体は様々なスケールのスタチュー(彫像)に力を入れているように見受けられます。

如何でしたでしょうか。ご紹介した中に読者の方がご存知なかったメーカーが一つでもありましたら幸いです。こういったフィギュアは一体一体がそこそこいい値段しますので、コレクターとしてはいつも金策には頭を悩ませるところですが、同好の士の皆様がたにおかれましてはどうか無理なく楽しい収集生活を送られますよう祈願いたしまして、筆を置きたいと思います。お読み頂きありがとうございました。

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