【これは癒し】Disney+オリジナルドラマ『マンダロリアン』1話&2話絶賛レビュー

【これは癒し】Disney+オリジナルドラマ『マンダロリアン』1話&2話絶賛レビュー

つい最近投稿したエピソード9の感想記事で「もう現製作陣が生みだすスターウォーズはお腹一杯です(キリッ)」的な捨て台詞を吐いた、その舌の根も乾かぬうちに、まさにその現製作陣が作ったドラマを褒めたたえるなんて、我ながら節操というものを通勤電車の網棚の上とかに置き忘れてしまってきてるのではないかと自嘲するものがありますが、Disney+オリジナルドラマ『マンダロリアン』が高い前評判のハードルを遥かに超えて、自分の中に大きな地殻変動を起こしてしまったので居ても立っても居られず急ぎ紹介記事を書いているという訳です。

ご注意 本稿はDisney+オリジナルドラマ『マンダロリアン』1話&2話の感想をネタバレを含みながら、ダラダラ書き連ねているものです。未見の方、お忙しい方は閲覧をご一考いただけますようお願い申し上げます。

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これが僕にとってのシークウェル

そもそもこの『マンダロリアン』、エピソード8、ハン・ソロ、エピソード9と立て続けにルーカス・フィルムには裏切り続けられたと感じていた僕はいくら評判が高かろうと、鑑賞するつもりはあまりありませんでした。

「どうせまた適当なのでっちあげてんだろ。」という不貞腐れた気持ちに加え、NETFLIX、hulu、Amazon Primeと既に3つ加入している映像配信サービスに、新たにディズニーデラックスに加入しなければ鑑賞できないということも心の障壁を高くしておりました。

ところが2019年年末から2020年のお正月休み、他に耽溺できる劇場映画があまり公開されていなかったということもありますが、自分の望む形ではなかったにせよ人生の大半をファンとして過ごしてきたスターウォーズが遂に完結してしまったという強烈な寂しさに襲われ、「もう新しいスターウォーズなんて知らないやい」と子供のように拗ねているのがひどく虚しいことのように感じまして、まあ鑑賞せずに批判するのもマナー違反だからとかなんとか自分に言い訳しながらフラフラとサービスに加入、恐る恐る鑑賞を開始して以降、既に配信済みの2話(2020.1.7時点)を毎日通して鑑賞してからでないと寝れないほどハマってしまいました。

このドラマは、スターウォーズならどんなコンテンツでも大好きというファンは元より、僕のようなディズニー体制以降のスターウォーズに食傷気味になってしまったファンにこそ見て欲しい、きっと傷ついた心が癒され、スターウォーズへの愛を取り戻すことができるのではないか、そんな思いでいます。

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1話と2話のあらすじをマニアックに紹介

舞台となるのは『スターウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』より数年後の宇宙。銀河全体に圧制を布いていた帝国は瓦解し、混沌としながらも平和を取り戻したかのように見える世界。主人公のマンダロリアン(略してマンドー)は凄腕の賞金稼ぎ。このマンダロリアンというのは惑星マンダロア出身の戦士部族のことなんですが、粛清によって今は主人公を含めてその数は僅かとなってしまっています。主人公の名前は現時点でわかっておりません。

不安定な社会情勢が影響してか賞金稼ぎ稼業も順調とは言えず、窮した主人公は所属しているギルドに紹介された「裏」の仕事を請け負うことになります。人目を偲んだ路地裏の建物で待っていた依頼主は、なんと帝国軍の残党たち。彼らの依頼は「人探し」で、年齢が50歳だというその対象を生きたまま連れてくるのが難しければ殺してその遺体を持ってこいというものでした。対象が残した最後の位置情報を元に惑星アルバラー7へと赴く主人公。着くなりブラーグという、クローンウォーズや『エンドア/魔空の妖精』に登場した2足歩行のクリーチャーに襲われますが、この星の住民でアグノートのクイールに助けられます。アグノートつうのは、エピソード5のべスピンで、ハン・ソロがカーボンフリーズされた際に、そのチェンバーで働いていた顔が豚そっくりの種族ですね。彼らにはガス採掘の為に徴収された強制労働者であるという暗い背景がございます。

もとい、主人公がマンダロリアンだからという理由でリスペクトを持ち、ブラーグの乗り方を教えてくれたり、目的地へのガイドをしてくれるクイール。主人公が探す対象はトランドーシャンぽいギャングたちが守る要塞の中に隠されていました。トランドーシャンというのは、こちらもやっぱりエピソード5に登場した賞金稼ぎで顔が恐竜みたいなボスクというキャラクターの種族です。話が進まねえ。様子を伺う主人公の目前で、ギャングの集団の中に単身突っ込んでいくのは、同じギルドに所属する暗殺用ドロイドIG-11。これも同型がエピソード5やクローンウォーズに登場してますね。苦戦するIG-11に共闘を申し出る主人公。二人は協力してギャングの制圧に成功します。

ようやく対象と対面となった二人の前に現われたのは、球体の保護ケースに入れられたヨーダと同じ種族の赤ん坊(ベイビーヨーダ)。種族名が判明していないこの種族はしかし、非常に長命であることで知られています。有無を言わさずこのベイビーヨーダを殺害しようとするIG-11を、主人公はブラスターで破壊、ベイビーを生きたまま連れていくことを決めます。ここまでが第1話です。

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ベイビーヨーダを引率したまま渓谷を進むマンダロリアン。襲い来るギャングの残党を蹴散らしながらやっとの思いで自分の船へたどり着きますが、彼の船は現地のジャワ族によって主要パーツの殆どを今まさに強奪されているところでした。ジャワの説明はいりませんよね?エピソード4序盤でR2-D2とC3POをルークに売りつけてたスカベンジャーな連中です。逃げるサンドクローラー(ジャワの巨大移動要塞)を追う主人公。必死に食らいつくも多勢に無勢で撃退されてしまいます。

ほうほうの体でクイールのキャンプへ助けを求める主人公。クイールはジャワとの交渉の仲介役を買ってでてくれます。船のパーツを盗んだジャワの元へ赴く主人公とクイール。パーツの返却を求める主人公に対し、マッドホーンの卵と交換だと主張するジャワ族。いた仕方なく交渉は成立、サンドクローラーに乗せられてえっちらおっちら巣穴へ向かう主人公。おそらくスターウォーズ世界初出となるマッドホーンとは、巨大な角とバイソンのような体躯を持つ凶暴でパワフルなクリーチャーで、主人公は卵を盗むどころか為すすべなくボロボロにされてしまいます。

あと一撃マッドホーンの突撃を食らえば命が危ないというところで、主人公の目前で宙に浮く巨大クリーチャー。見ると主人公に付き従っているベイビーヨーダが、手をかざしフォースによって突進を食い止めたようです。その寸隙をついて討伐に成功する主人公。無事毛むくじゃらの卵をゲットし、船のパーツを取り戻します。とはいえ分解されたパーツは多く、作業の多さに愚痴をこぼす主人公。そんな彼を励ますクイール。優しいアグノートの協力でなんとか飛行が可能な状態に戻った宇宙船。感謝の言葉と共に、主人公は自らのクルーにならないかと提案しますが、「奴隷からやっと抜け出せたんだ」とそのオファーを断るクイール。先ほど紹介したアグノートという種族の持つ背景が地味に言及されてるわけですね、ニクいです。ともあれ旅立つ主人公とそれを見送るクイール。主人公の傍らには謎がさらに深まったベイビーヨーダが穏やかな表情で座っています。とここまでが第2話のあらすじです。

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見たことある奴らのバックストーリー

何だか必死ににあらすじを書いてしまいましたが、読んで頂ければお判りの通り、『マンダロリアン』に登場する種族やクリーチャーの多くはオリジナルトリロジーや、プリクエル、クローンウォーズなどで既出の連中なんですね。スターウォーズというコンテンツの最たる魅力は、膨大なファンダムに象徴されるように、多種多様な種族がおりなす世界観そのものだと筆者は考えていますが、メインストーリーでは触れられることのなかった、画面に一瞬見切れただけのキャラクター達にスポットライトをあて、スカイウォーカーもパルパティーンも関係なかった(全く関係ないかはまだ判りませんが)彼らなりの人生を描いているドラマがこの『マンダロリアン』です。アニメシリーズのクローンウォーズやレベルズなども同じようなコンセプトで作られているタイトルですが、映画以外で初めての実写作品であるという点や、エピソード6の後という魅力的な時代設定も、この作品が一際「ハネて」いる要因でしょう。40年前、オリジナルのスターウォーズが製作された際、黒澤映画や西部劇を下敷きにしたことは広く知られていますが、そこをあえて踏襲しているところも好感が持てます。

個人的に、自分でもよく分かっていなかった「観たかったスターウォーズの続編」そのものを観ることができているような、そんな感慨さえ沸いてきています。

まとまりのない感想で申し訳ありませんが、とにかく脚本とショーランナーを兼任しているジョン・ファヴローの手腕が大きいのでしょう。考えてみれば、ここ10年夢中になっておいかけてきたアイアンマンを生みだしたのも彼でした。彼の近作『ジャングルブック』や『ライオンキング』はスルーしてしまいましたが、本来であれば彼の関わった映画を全部観て、毎朝キューバサンドを食べて、毎晩ハッピー・ホーガンのブロマイドに感謝の祈りを捧げて然るべき大きな存在だったわけです。

Jon Favreau, You’re my only hope.

未見の方がこんなネタバレ記事読んでいるか判りませんが、近年のスターウォーズ作品について筆者と同じような印象を持っている同胞の皆様、騙されたと思って『マンダロリアン』に是非触れてみてください。失くした大事なものを取り戻したような感覚、一度は絶望してしまったスターウォーズの行く末に、ここに来て急に明るい光が射した、そんな気さえする嬉しい出会いでした。

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