Advertisement
若い人はもう知らないのかもしれない。
NASAが30年間運用した、再使用可能な有人宇宙船。それがスペースシャトルだ。
合計135回打ち上げられたが、コスト高と危険性の観点から2011年に打ち切られた。
電信柱に止まった蝉の趣きのあるシャトル部分、「オービター」は旅客機のボーイング737型とほぼ同じ大きさがある。打ちあがってすぐにブースターロケット2本を切り離し、しばらくすると巨大な燃料タンクを捨てて宇宙へ飛び出していく。大西洋に落ちたブースターは回収され、再利用される。燃料タンクは落下の際、大気との摩擦によりあらかた燃え尽きてしまう。
任務を終えて帰還するとき、オービターには通常の航空機に備わっているところの減速手段が無いため、高速度のまま滑空して着陸地に突入してくる。その姿が勇ましい。凄まじく勢いがあるから着陸の瞬間、タイヤと滑走路面の摩擦により白煙が盛大に立ち上がる。そこがいいのだ。
天候などの理由でフロリダ宇宙センターが使用できない場合は、他の空港に着陸し、そのあとジャンボジェットに乗せられてフロリダへ回送される。その姿はかわいらしい。そこがいいのだ。
現在、宇宙空間に人間を届けることができるのはロシアのロケットのみ。そこでアメリカは、スペースシャトル退役後長い沈黙のあとに、やっと有人宇宙船を開発する気になった。ただいま試験段階に入ったという。
↑実証機ドリームチェイサーを大型運搬機によって高高度まで上昇、そこで切り離した後性能をテストしている。
Advertisement
(文・イラスト:YOGI age71)