【Rockstar Gamesのクールなコンセプトアート】ステファン・ブリスとアンソニー・マクベインについて

【Rockstar Gamesのクールなコンセプトアート】ステファン・ブリスとアンソニー・マクベインについて
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気になるロックスターのコンセプトアート

読者の皆さんは、「ロックスター社のゲーム」というとどんなイメージをお持ちですか?

GTA(グランド・セフト・オート)シリーズを筆頭に、ゲームをプレイする人間にとって知らないものはいないほどの知名度を誇るRockstar Games。

ニューヨークに本社を置く同社のゲームと言えば、日本でも「CERO-Z(18歳以上対象)」というレーティング誕生の原因(GTA3)となってしまった過激な暴力表現の悪評だけがひとり歩きしがちですが、作品ごとに構築される緻密な世界観、底が見えないほど奥が深いゲーム性は他社の追随を許さず、2013年発売『GTA5』の通算6,500万本(歴代4位)の売上や同作が打ち立てた6つのギネス記録が示唆する通り、ロックスターのゲームは世界中で絶大な人気と影響力を誇っています。

 

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今や世界最高のゲーム会社といっても過言ではないロックスター社ですが、同社のゲームデザインを語る上で欠かせない要素として、中身の話もさることながらその外観、カバーアートや広告、ゲーム中ロード画面に挿入されるコンセプトアートなど、カートゥーン調のイラストを主体とするヴィジュアルイメージのカッコよさが挙げられます。

 

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端的に言って、一目でゲーム全体の雰囲気が伝わるとでも言いましょうか、画風こそ全く違いますがノーマン・ロックウェルのイラストにも通じるような、受け手が絵の向こうに広がる世界を感じ、「この世界の中に行ってみたい。」と思えるアートワークなんですね。

 

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2001年の『GTA3』以降、リリースされた同社の殆どのゲームに共通するこういったアートはいったい誰の手によるものか。あまりにも有名な作品に対し、それを手掛けたアーティストの名はここ日本ではほとんど知られていません。

もちろんロックスター社のアート部門には大勢の人間が所属し、チーム全体の功績であることにも間違いありませんが、本稿ではその中でも主要人物と思しき2人のアーティスト、ステファン・ブリスアンソニー・マクベインをご紹介します。

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ステファン・ブリス(Stephen Bliss)

 

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イギリス人のイラストーレーター、ステファン・ブリス(年齢非公表)は、ブライトン大学卒業後、1986年日本にやってきました

ドメスティックブランドの雄「ヒステリックグラマー」の専属デザイナーとしてプロとしてのキャリアをスタートします。後の彼の作風を思うと、「ヒステリックグラマー」と聞いて思い浮かべるグラフィックやタイポグラフィーに共通点のようなものを感じ、なんとなく腑に落ちる気がしますね。

約4年の長きに渡るヒステリックグラマーでの活動後、イギリスへ帰国。フリーランスの広告デザイナーとして、レコード会社や服飾ブランドを始めとする数々の大手クライアントの仕事を手がけました。この時期の代表作として、同じイギリスの人気音楽ユニットMassive Attackのアルバム「No Protection」のカバーアート等があります。

 

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売れっ子イラストレーターとして働く傍ら、Deadline Comicsよりオリジナルコミックを出版したり、「Steroid(ステロイド)」というTシャツブランドを立ち上げたりと幅広く活動していたブリスでしたが、そんな彼に目をつけたロックスター社が2001年、専属の上級アーティストとして彼を招聘。オファーを受けた彼のロックスターでの初仕事が、「GTA3」のカバーアートでした。

 

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I came to NYC to create this cover for Rockstar Games in 2001 and stayed there for 16 years. Bloody hell, what a great trip. #rockstargames #gta3 #grandtheftauto #grandtheftauto3 #videogameart #videogames #videogameillustration #artstyle #cartoon #comicbook #action #thrill #gangsters #mafia #art #illustration

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ご覧いただいてお判りの通り、現在まで連綿と続く、ロックスターのカートゥーン風ヴィジュアルイメージ。その端緒となったのは、彼、ステファン・ブリスによるものでした

以降15年間、同社の専属としてGTAシリーズ(3から5まで)、レッドデッドリデンプション、LAノワールなどのアートを手がけています。またこの間、ゲームのアートワークだけでなくロックスター社自体のライフスタイルデザインも担当。同社のポスターやゲーム以外の製品のデザインに携わり、主にブランディングの面でロックスター社が現在の地位を築くために大きな役割を果たしています。

そんなロックスターにとって非常に重要な存在となったステファン・ブリスでしたが、2016年同社を退社。彼自身がSNSなどで語っているところによると、自身が壮年に差し掛かり、残りの人生を、制約のないオリジナル作品の創作に費やしたいという強い欲求にかられたことが、長年親しんだロックスターを去る原因となったそうです。

現在、グラフィティに主軸を置いたオリジナルの創作にいそしむ彼ですが、その独特の作風のルーツを問われ、前述したヒステリックグラマーでの経験と共に、デアデビルやスパイダーマンなどのアメリカンコミックの影響が最も大きいと語っています。さもありなん、といった感じです。

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アンソニー・マクベイン(Anthony Macbain)

そんな大事な人が抜けちゃって、今後のロックスターは大丈夫なの?と思われる向きもあるでしょうが、実はもう一人、ごく最近ロックスター社を離れてしまった、在籍時はブリスと並んで両翼の片方とも言われたアーティストがいます。ロックスター社ヴィジュアル部門の監督を務めていたアンソニー・マクベインです。

 

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2004年にロックスターに加わって以降、ディレクター兼アーティストとして、ブリス同様数多くの同社ゲームに携わり、同社独特のスタイルの確立に尽力してきたマクベイン。同社最大のヒット作品『GTA5』では、アーティスト達の主軸として、数々の印象的なイラストを残しています。個人的には、ロックスターのゲームの中で最もお気に入りの『BULLY』のアートワークも、彼の手に依るところが大きいというところを同好の士に向けて声を大にお伝えしたいところです。

 

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More work from GTAV. Copyright Rockstar Games. #illustration #digitalart #digitalillustration #gtav #gta5 #grandtheftautov #rockstargames #chop #franklinclinton #dog #baseballbat #liquorstore #lossantos #sanandreas #walkies

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One of my favorite things about working at Rockstar was illustrating in a multitude of styles across many games. Bully is one of my favorites and was so much fun to work on! Copyright Rockstar Games. #illustration #digitalart #digitalillustration #characterart #rockstargames #bully #bullworth #bullworthacademy #caniscanemedit #jimmyhopkins #garysmith #thedogatemyhomework #boardingschool

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2018年に発売された『レッドデッドリデンプション2』でのアートワークを最後に、ロックスター社を退社した後は、トリトンシティ・エンターテインメントというオンライン上のコンセプトアートフォーラムを運営する会社に参画。TVドラマのコンセプトアートなど、ブリスと同じくこちらも活動の幅を広げています。

 

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年齢的にまだ若いからか、マクベインのロックスターに入るまでの経歴はブリスのように詳しくは判りませが、この会社のHP上のバイオクラフィによると、彼は余暇に文章を書いたり、楽器を演奏したりするのが好きで、限られた友人とそういったイラスト以外の創作活動をすることが、デジタルメディアを主戦場とするイラストレーターとしての仕事に良い相乗効果を与えると考えているそうです。

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いかがでしたでしょうか?

ロックスターのゲームと聞いてイメージする特徴的なアートを手掛けてきた、現代ポップカルチャー界においての最重要イラストレーターといっていい2人について、日本語の記事がほぼないことに義憤に駆られて、かなり駆け足ながらご紹介させて頂きました。会社の名前の影に隠れて見えにくくなってしまっていた、知られざる名手たちの周知に一役買えたのなら光栄です。

ご紹介した通り、何の因果か二人とも既にロックスターを離れてしまっていますが、ステファン・ブリスとアンソニー・マクベイン、形を変えていくであろう今後の2人の活躍を期待するとともに、2人が中心になって作り上げたロックスターのアート部門が、彼らが去った後もしっかり機能するのかどうか、関心を持って見守りたいですね。

BULLYは僕の生涯ベストゲーム。イラストは好漢ジミーのちょっと成長した姿の想像図です。
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