お久しぶりです。緊急事態宣言もひとまず終了しましてね、自粛期間中皆さんいかがお過ごしでしたか?筆者はガンダムファンでもないのにひたすらガンプラ作ってました。その模様は後日別稿にてUPするつもりですが、そのプラモデル制作期間、片手間にタイムフリーでラジオを聞きまくっていたのですが、本稿では個人的に今イチオシのTBSラジオ『真空ジェシカのラジオ父ちゃん』という番組をご紹介したいと思います。
真空ジェシカのラジオ父ちゃん
毎週金曜深夜24:30~25:00の約30分間、マイナビLaughter Night内の箱番組(番組内プログラムのこと)として2020年4月よりスタートした『真空ジェシカのラジオ父ちゃん』。真空ジェシカとはプロダクション人力舎所属の芸歴9年目(2020年6月時点)、ボケ担当の川北茂澄(以下敬称略)と、ツッコミ担当のガクカワマタによる若手お笑いコンビです。
この放送枠では2020年3月末まで、以前ご紹介した『空気階段の踊り場』という番組が放送されていましたが、この春『空気階段の踊り場』がマイナビLaughter Nightを独立して放送時間帯を移動(毎週土曜深夜27:30~)、空いたスペースに見事滑り込んだのが2019年度マイナビLaughter Nightグランドチャンピオンとなっていた真空ジェシカというわけです。
普段ラジオを聞かない人にとっては、目から鱗かもしれませんが、ラジオ界は現在お笑い戦国時代。主要放送局のみならずラジオアプリGERAやYouTubeなどのマルチチャンネルで、有名、無名を問わずお笑い芸人による番組が数えきれないくらい乱立している状態です。ラジオは地味ですが根強く息の長いメディアですので、伊集院光をはじめナイティナインやバナナマンといったベテラン・中堅どころのパーソナリティも未だ健在という中、日々微かな浮かぶ瀬を求めて若手が鎬を削っています。
毎週若手芸人によるネタを選抜して放送、人気投票によって週間、そして月間チャンピオンを選出、そして年に一度月間チャンピオン12組を戦わせてその年のグランドチャンピオンを決めるというもはや若手お笑いファンにとっては知らない者はいないビッグコンテストに成長したマイナビLaughter Night。テレビでは放送できないような際どい攻めたネタも許容されるとあって個人的に信頼度の高いコンペティションですが、年間チャンピオン(グランドチャンピオン)を獲得したとしても、レギュラー放送枠を獲れるかどうかは実力だけでなく運の要素も強く作用します。
このマイナビLaughter Nightグランドチャンピオンには、前述の空気階段だけでなく、昨年M-1の決勝進出を果たしたニューヨークや、2018年キングオブコント決勝に進んだやさしいズも名を連ねていますが、彼らを差し置いてテレビでの露出も少なくお笑いファン以外には現時点でほぼ無名といっていい(失礼)真空ジェシカがレギュラーに抜擢されたという事実は、関係者の若手芸人に向ける視線の暖かさと、真空ジェシカというコンビの持つ可能性にかける期待の大きさが伺えて胸が熱くなります。
真空ジェシカってどんなコンビ?
実際にライブに足を運んで彼らのネタを観たことはないので、話半分に読んで頂きたいのですが、個人的に真空ジェシカというコンビは百花繚乱の若手芸人の中でもかなり異質な存在だと感じています。
ネタ作り担当の川北茂澄の並外れた発想力とスタイルフリーな笑いの取り方、大衆(特に女性ファン)に一切迎合しないように見える言動や姿勢などから特にそう受け取れるのだと思いますが、このご時世に、容姿やキャラクターといった入りやすいポップな要素をほとんど持ち合わせていないにも関わらず、純粋に「お笑い力」のみで浮上してきた彼らは、他の芸人には決して思いつかないような新しい何かを見せてくれるのではないかと予感させるものがあります。
百聞は一見に如かず、上にYouTubeに上がっている公式ネタ動画からおススメの一本と、下に川北茂澄の才能が非常にわかりやすい形で出ていると感じるスラッシュパイルのnote企画「読んで楽しむ漫才」を貼っておきます。特にnoteの方は是非ご覧頂きたい。企画に参加している他のお笑いコンビのリンクと読み比べてみると、抜群のセンスが伝わると思います。
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創作において観客を作劇に利用する手法を「メタフィクション」と呼び、真空ジェシカもその手法をよく用いますが、ここまで俯瞰してネタを書ける人間はそうそういない稀有な才能だと思います。
川北の才能のことばかり取沙汰しましたが、相棒のガクカワマタもいじられ役として狼狽っぷりが非常に堂に入ったものがありますし、ラジオに話を戻すとマトモそうに見えてかなりぶっ飛んでいるので彼のエピソードトークはかなり聞きごたえがあります。真空ジェシカファンは、川北をリスペクトし、ガクカワマタをペットのように愛でている方が多いのではないでしょうか。
二人とも失礼ですがイケメンというわけではないですし、ラジオから聞こえてくるのも決していい声というわけではありません。悪く例えるとイケてない男子高校生が部室でウダウダ喋っている感が強いです。初めて聞いた方はガクカワマタのトークに、マニアックな語呂遊びを頻繁に差し込む川北に「なんだこれ?」と思うかもしれませんが、どうか最初の取っつき辛さを我慢して聞き続けて頂きたい。予想外の方向に転がっていくガクのエピソードトークに、切り返しで光る川北のワードセンスとその速度、『真空ジェシカのラジオ父ちゃん』は他の芸人にない真空ジェシカの魅力を満喫できる番組となっています。コーナーも数は多くありませんが投稿しやすいものが揃っています。詳細は下記公式ページをご覧下さい。※YouTubeのラフターナイトのネタ動画もそうですが、サムネイル画像も見どころのひとつです。
真空ジェシカのラジオ父ちゃん/TBSラジオ
https://www.tbsradio.jp/titi/
まだ始まったばかりの番組ですか、知る人ぞ知るとなっているのは勿体ない、スマホアプリの「radiko」でタイムフリーできますし、TBSラジオの番組なんでこちらもスマホアプリ「ラジオクラウド」に全放送分プラスアフタートークがUPされていますので是非聴いてみてください。何より真空ジェシカみたいなコンビがちゃんと売れる芸能界であってほしいという願いを込めて、ひとまず拙稿を終えたいと思います。
※2021.05.13追記
2021年3月末をもって惜しまれつつも一年という短さで終了してしまった「真空ジェシカのラジオ父ちゃん」でしたが、2021年5月15日19:00よりTBSラジオのアプリ「ラジオクラウド」ほか配信での復活がアナウンスされました。アーカイブも以前のものを継続して聴けるようになっています。いちファンとしてとりあえず一安心です。