人類初の巨大木造船
紀元前5000年頃の話。
神様「ノアよ、お前は良い男だ。他の人間は皆わしの言うことを聞かなくなってしまった。つまりこれって契約違反。よって罰を与えることにした。だがお前だけは助けてあげるつもり。で、コレコレアレアレ(仕様と乗員の説明中)で、でっかい方舟を造るのじゃ!」
ノア「然るべく畏まってござる。さっそく取り掛かります。」
神様に忠実ではあったが、実はノアは不器用。安請け合いをしてしまった。
ノア「神様、私は生まれついての不器用者。巨大な舟を造る自信がございません。」
神様「オーマイガッ!困ったものだ。それではDIY(Do it yourself)が得意なわしが手伝ってあげよう。お前もしっかり工具の使い方を覚えるのだぞ。」
というわけで神様は方舟建造の手伝いをしたはずである。じゃなかったら不器用者でなくともたった一人の手で全長130メートルもの大きな船を造れるわけがないのだ。(アメリカのケンタッキー州に、実物大の模型がある。画像を探してみてほしい。大きさがよくわかる)
洪水が去った後、方舟はアララット山の中腹に流れ着いた。
アララット山はトルコ東部にある高山、海抜は5000メートル以上もある。
かくしてクラフトマンシップは誕生した
こうしてDIYを好む伝統はユダヤ教からキリスト教へ、ローマ文明を経て現代西洋文明へと伝播した。たぶん。
西洋やアメリカの男性は、週末になると自宅の修理や増築に没頭する。
父の日には最新の電動工具を家族の者がプレゼントする。
「父ちゃん、もっと働け!」というわけだ。
そのため本来は自動車のためのガレージに、車が入っていないことが多い。
代わりに電動工具がズラーッと陳列されており、中央には作業台がデンと置いてある。
親しい友人などが家に来ると旦那さんは、そんな自慢の工具類を見せる。
そして日曜日、彼らは教会ではなくホームセンターに行くのだ。
工具や機械を、一般人が使いこなすのは西洋文明の特徴と言ってもいい。
第一キリストさんは大工の息子だったし、ソクラテスさんは石工。アメリカ独立の立役者ベンジャミンさんは印刷工であった。
クラフトマンシップは偉大なのである。