ニューコメンの揚水ポンプ

ニューコメンの揚水ポンプ

数千年前、中東に文明が起きてから18世紀までの長き間、主要な運動エネルギーは馬であった。18世紀になってやっと人類は蒸気を利用するようになった。蒸気を操る術はこの世紀のあいだにイングランド、スコットランドの発明家によって開発された。

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その原点と呼べる蒸気利用の機械が、イングランド人、ニューコメンの発明による揚水ポンプである。

1712年、ニューコメンは冷やされた蒸気が水に戻る際に生じる負圧で、ピストンを動かす方法を実用化した。発明の動機は彼の居住地域にある鉱山から出る湧き水を汲みだすことにあった。

ただ、冷却時にシリンダーが冷えてしまうので熱効率は非常に低く、掘り出された石炭の3分の1は、この揚水ポンプのために消費されてしまう程であった。熱効率1パーセント!

より有名なスコットランド人、ジェームズ・ワットは、ニューコメンのポンプを改良したより効率の良い機関を発明した。シリンダーを冷やさずに負圧だけでなく正圧も利用した優れもの。これが産業革命の基礎となったのだ。何故ならワットの蒸気機関は馬よりも維持費が安かったのだ。

これは余談だが、蒸気圧力を機械的運動に変換するアイデアは昔からあった。例えば2000年前、古代アレクサンドリアの数学者ヘロンは「蒸気機関もどき」を考案していたが実用には至らなかった。


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さらに余談は続くが、なぜ日本人は茶の湯という文化を持ちながら、蒸気の利用を思い付かなかったのだろうか。鉄瓶には立派なものがあるというのに。不思議である。

(イラスト・文: YOGI age71)

 

 

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