【おすすめラジオ番組】神田松之丞 問わず語りの松之丞・入門編

【おすすめラジオ番組】神田松之丞 問わず語りの松之丞・入門編
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普段から偏った内容の記事ばかり投稿して、やれ「いい歳こいて玩具バカ」だの、やれ「いい歳こいてアメコミバカ」だの家族や友人から陰口を叩かれ続けている私でございますが、本稿はちょっと趣向を変えまして、筆者が最近愛聴しているラジオ番組を紹介致します。

「ラジオ」というと、これは個人の印象ですが、「よく聴く人」と「全く聴かない人」、0か100かにきれいに別れ、一番聴取率が良いとされている番組でもその割合は首都圏で3%程度、40人のクラスがあったらその中の1人しか聴いていないくらいの、マイナーと言ってもいいメディアだと思うのですが、一方でインターネット全盛(ダサい言い方ですね)のこのご時世に、なくなりそうで全然なくならない、時代を超えて一定数のファンを確保し続ける特異な媒体でもあります。かくいう筆者もですね、普段テレビはあまり観ない(映像配信サービスは除く)のですが、ラジオは主に通勤中や就寝前、平均して1日に2~3時間は聴いています。

筆者とラジオとのなれそめは、今から26年前の高校一年生の時、音楽目当てで何の気なしにつけていたラジオから流れてきた『伊集院光のOh!デカナイト』(ニッポン放送)の面白さ(&下品さ)に衝撃を受けたのが始まりです。おそらく筆者と同世代のラジオリスナーにとっては「王道」と言っていい導入だと思うのですが、以降四半世紀、局を変え番組を変え、途中2、3年休止期間を置いたりしながらもずっと聴き続けて参りました。

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昔ラジオは放送しているオンタイムで聴くか、ラジオサーバーなどの高額な機械で録音するしかなかったんですが、数年前にリリースされたスマホのアプリ「radiko」のタイムフリー放送で時間と場所を選ばず聴くことができるようになり、深夜放送をメインに愛聴している筆者にとっては、隔世の感を得つつも非常にありがたく感じる、ラジオリスナー的にはいい世の中になりました。

筆者が贔屓にしているラジオ番組は、上記のオーデカに始まり聞き始めた順番に並べると、『伊集院光 深夜の馬鹿力』(TBSラジオ)、『ナイティナイン(岡村隆史)のANN』(ニッポン放送)、『エレ片のコント太郎』(TBSラジオ)、『バナナマンのバナナムーン(GOLD)』(TBSラジオ)、『ライムスター宇多丸のウイークエンドシャッフル』(TBSラジオ※現在は終了)、『オードリーのANN』(ニッポン放送)ってな具合になります。

んで、これは筆者だけに限った話かもしれませんが、自分のお気に入り番組の週単位のローテーションは、一旦固まると番組が終了しない限り変更しないので、新しいMCの新しい番組はほとんど聞いてみたりもしないのですが、ここに来て上記鉄壁のラインナップ(※エレ片も鉄壁です)に強力に割って入ってきた番組がありました。

それがTBSラジオで金曜日21時半から放送中の『神田松之丞 問わず語りの松之丞』です。松之丞は「まつのじょう」と読みます。

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講談師・神田松之丞(2020年2月からは神田伯山)

神田松之丞さんは、東京・池袋出身、現在(2019)35歳の二つ目(2020年2月に真打昇進が決定済)の若手講談師。

講談というとあまり聞きなれない響きかもしれませんが、落語家と同じように着物で高座に座り、「釈台」と呼ばれる前に置かれた机を手に持った「張り扇」で叩いて調子をとりながら、軍記物や政談を読み上げる伝統芸能の一つです。

「笑点」などでお茶の間にお馴染みの落語とは異なり、言わば知る人ぞ知る芸となって久しかった講談ですが、ここ数年、ある一人の若手の活躍と人気をもって、にわかに活気づきつつあり、その立役者となった若手こそ誰あろう神田松之丞その人、というわけなんですね。

んで、その高座での軽妙洒脱な語り口とカリスマ的人気に目を付けたTBSラジオが、彼をパーソナリティに抜擢して2017年4月にスタートした番組が『神田松之丞 問わず語りの松之丞』です。

番組の内容はいたってシンプル。神田松之丞さんが、一人語りの形で身の回りに起こった出来事や、講談・落語・芸能界の内幕、時事ネタなどを時にシニカルに、時に自虐的に、笑いにまぶして語り下ろすだけの30分となっていますが、これが非常に面白い。

彼自身が「真似をした」と雑誌のインタビューで語っているように、番組のフォーマットそのものは伊集院光さんの番組『深夜の馬鹿力』と酷似しているのですが『問わず語りの松之丞』は、出藍の誉れが如く(言い過ぎか)、『深夜の馬鹿力』からさらに輪をかけて攻撃的。不幸にもターゲットとなってしまった事象や人物を、聞いているこっちがヒヤヒヤするくらいこき下していく今どき珍しいスタイルです。

こう書くと、さぞかし乱暴で粗雑な武闘派ラジオかと思われるでしょうが、こき下ろした相手にはフォローを忘れず、また一般の人が聞きなれない講談・落語界の用語や人名、芸界の慣習などは親切丁寧に解説してから話題にするなどリスナーフレンドリーな部分も多いです。我々が知らない古典芸能界の歴史や人物の人となりを知ることができ、寄席や講談会に興味が沸いてくるのも大きな特徴ですね。松之丞さんの落ち着いた独特の声質も相まって総じてとても聞きやすい番組です。

重ねて個人的な見解を言えば、昨今テレビやラジオだけでなく、映画などあらゆる創作物に蔓延しつつある「コンプライアンス遵守」の気風、あまりに無頓着なのは論外だとしても、行き過ぎて気を遣いすぎているものは逆に不自然で面白みに欠けると思いますので、神田松之丞さんのウィットに富んだ話芸や、ストライクゾーンのギリギリを攻める姿勢(たまに容赦なくアウトになっている)は、番組冒頭のお決まりの口上「本音が聞けるのはラジオだけ」という信条を地でいっており、とても小気味よいものを感じます。

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登場人物紹介

そんなわけでラジオ番組『神田松之丞 問わず語りの松之丞』の聴取を熱烈にお勧めするものでありますが、「それじゃ試しに聞いてみようかな。」というアナタのために、この番組の中で頻繁に名前が登場する重要人物を数名紹介しておきたいと思います。

というのも、ラジオ番組(特に深夜番組)を少しでも聞かれたことのある方ならお判りのように、ディレクターや、構成作家など、一緒に番組を作っているメンバーはパーソナリティと関りが深い分パーソナリティの話のタネになりやすい上に、彼らの名前は新番組でもないかぎり紹介なしでエピソードにいきなり登場するので、番組聞き始め当初は「著名人でもない、この人はどこの誰なんだ。」という疑問を抱えながら聞くことになることが多いんですね。

『問わず語りの松之丞』もご多聞に漏れず、下記に挙げるレギュラーと呼ぶべき人たちが存在します。しばらく聞いてればいずれ判ることでも、あらかじめ彼らの人となりをある程度知っておいた方が、より番組を楽しめると思いますので、是非ご一読ください。

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(初代)笑い屋のシゲフジくん

松之丞さんの話の聞き役として、後ろで笑っている人。番組開始当初いきなりクビになったが、サンキュータツオさんが連れてきた二代目が全然使えなかったためめでたく復職。伝統芸能常磐津節を修行中の20代。なんと大学で数学の教鞭をとるインテリゲンチャでもある。番組に寄せられるクレームのうち、その大部分が「後ろで聞こえる笑い声が不快。」というもので、かわいそうに批判の矢面にしょっちゅう立たされているが、当人はまったく気にしている様子はない。

松之丞さんに「求める恋人像」を問われた際に、「役者の血が欲しい」と馬主みたいなことを言って周囲を戦慄させたのも今は昔。歌舞伎ファンの見目麗しい彼女が出来て楽しくやっているらしいが、番組を盛り上げるためにもひどい振られ方をして欲しい(冗談です)。

ディレクターの戸波さん

『問わず語りの松之丞』を立ち上げた先見の明がある人。番組の編集も担当している。しょっちゅう松之丞さんがこき下ろすため、天然っぽい人物と思われがちだが、当人はいたって常識人で、イベントに来たリスナーに舐められるのが悩みの種らしい。愛妻家でおしどり夫婦。奥さんからは「ひーちゃん」と呼ばれているらしい。

この番組は長い間スポンサー不在のまま放送されていたのだが、つい先日、めでたくフォルクスワーゲン社がスポンサーとなり、喜びのあまり戸波さんの奥さんが「みんなでお金出しあって、フォルクスワーゲンの車買おう。」とわけのわからないことを言ったとか言わないとか。時折来襲する編成のお偉いさんなどに頭が上がらない様子が哀愁を呼んでいる。

番組の強力な後ろ盾であったらしいアサイさんという人物が、他社に移籍してしまい、番組の存続は彼の双肩にかかっていると言っていい。頑張れ戸波さん。

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作家のサトケンさん

「赤江珠緒たまむすび」や「ジェーンスー生活は踊る」など、複数の人気ラジオ番組を担当する売れっ子作家。番組には遅れて参加。台本を書いているわけではないが、トークの方向性をアドバイスしたりしているらしい。イケイケの発言が特徴的。シゲフジくんやトナミさんと異なり、番組中貶されることが少ないことから、パーソナリティーから一定の信頼と尊敬を勝ち得ている様子が伺える。

その言動から、番組のバランサー的立ち位置なのかなと予想している。

カミさん

松之丞さんの奥さん。一歳くらいのお子さんを抱えながら、松之丞さんのマネジメント業務やイベント運営を担当しているらしい公私を共にするパートナー。お子さんが生まれた際、「子供の性別は、その子自身が決める。」と言うジェンダー界隈に鳴り響く名言を残した。

怒りっぽい松之丞さんに、結婚前は水準以下であったストレス数値が、結婚後しばらくで規定上限値を振り切りその精神衛生状態が心配されている。お酒を飲んで戸波さんに激しく絡むこともある。最近、喧嘩が高じて子連れで家出をしたが、高級な高層ホテルからの景観に和み、無事帰還した。

マッシュ

タレント事務所に所属せず、自前でマネジメントをしていた松之丞さんであったが、多忙につき限界を感じ公募して選ばれたマネージャー第一号。古典芸能に造詣が深く、闇のエネルギーに囚われない稀有なメンタルを持っているらしい。年齢は松之丞さんよりやや年上。エピソードにはまだあまり登場していないが、これからの活躍に期待。

師匠

神田松之丞さんの講談の師匠、神田松鯉(しょうり)さんのこと。非常に理性的で優しい人物らしく、触れるもの皆傷つける松之丞さんだが、師匠の悪口を言っているのは聞いたことがない。松鯉という芸名は「神田祭り」の語呂遊びから。優しい師匠とよく出来た弟子、松之丞さんとは相思相愛の関係で、彼が登場するエピソードは示唆に富んだ良い話が多い。最近、松之丞さんの下となる新弟子さんが来て、芸名を「松麻呂(まつまろ)」にした。

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いかがでしたでしょうか?

皮肉や他人をクサした笑いが苦手でない方になら、大手を振ってオススメできる『神田松之丞 問わず語りの松之丞』。

現在のスタイルは、真打に昇進する来年2月まで、なんて噂もありますので、ラジオ好きの方は旬を逃さないよう、騙されたと思って是非聞いてみてくださいね。

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