内回りVS外回り
あるとき、山手線の内回り電車と外回り電車がLINEで会話した。
内回りくん
キミの方が早く車体が傷むよね
そんなわけないだろ
外回りくん
僕ら同じ山手線じゃあないか
外回りくん
内回りくん
いいや、キミの方がR(曲率半径)が大きい。僕より長い距離を走っている。だからキミの方が早く劣化するんだ
内回りくん
劣化だけにレッカー車だなww
なるほど、そう来たか
外回りくん
待てよ、ということはキミについている車輪はより、きついカーブを曲がるんだから早く摩耗するぞ。レールだって早く傷むんじゃないか?
外回りくん
内回りくん
そう言われてみればそうだな。
内回りくん
レールよ、がんばれーる!
なんだそれ
外回りくん
内回りくん
ところでキミは長い距離を走るのだから、僕より料金を高くすべきだな
それは困る。キミの方ばっかりお客さんがいってしまうじゃないか
外回りくん
内回りくん
前から思ってたんだけどさ。僕らの真ん中を走る中央線てうざくない?
僕もそう思ってた。新宿と秋葉原にバリケード作っちゃおうか
外回りくん
内回りくん
あいつやまてくれーって言うんじゃない?
実際のところは…
山手線一周の距離は、約34.5キロメートルで、電車が一周する時間は約1時間だそうだ。
上の会話にあったRのことだが。内回りと外回りの線路の距離を平均5メートルとすると、2R×3.14の公式に当てはめれば31.4メートル。
山手線の外回りは内回りよりも31.4メートルだけ長い距離を走っていることになる。
考えてみれば当たり前のことだが、例えば地球の赤道上空5メートルのところに設定した円周も、赤道の円周よりも31.4メートルだけ長いということになるので、不思議な感じもする。
「きついカーブ」云々も、全長34,500メートルに対して、31.4メートルの差の話なので、どちらも車両の劣化の違いにはほとんど影響がないであろう。
余談:ウィーンのリングトラム
山手線の「かわいい版」がオーストリア・ウィーンにある。
街の中心部をウィーンと一周する路面電車線で、リングトラムという。
ウィーンの主要観光スポット、王宮、美術館、オペラ座、市立公園、ドナウ運河のすぐ横を通る。
街のシンボル聖シュテファン寺院も駅から歩いて行ける距離にある。
オペラ座からシュテファン寺院までの道沿いは銀座のように有名店が並んでいるので、ショッピングにおすすめだ。
山手線は自動車道路とほぼ立体交差しているが、ウィーンのリングトラムは路面電車であるから歩行者との距離が近い。時々限りなく近くなりギョッとする。