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トロイ戦争は一人の女性を巡っての戦いであった。古来より女性問題は戦争の原因の一つではある。
10年間も戦ったにも関わらず、トロイの城を落とすことができなかったギリシア軍の総大将アガメムノンは奇策を思い付く。
退却したと見せかけて、陣に木で出来た大きな馬の像を残していったのだ。
中にはギリシア軍の兵士が潜んでいる。
トロイ側はギリシア軍を撃退したと錯覚し、安易な気持ちになって木馬を城内へ引き入れてしまった。
勝利の美酒に皆酔いつぶれた頃、木馬から兵士が下りて城門を開け放った。なだれこんできたギリシア軍は火を放ち、
トロイ軍を散々に撃ち破った後、こう言ったとか。
「とろいのう。」
有名すぎるこの伝説。実際には紀元前からトロイは落城しなかったという説が出回っている。
現代になってトロイの遺跡を訪れても激しい戦いの形跡や大火災の証拠を見出すことはできない。
もちろん木馬の木屑ひとつない。
ともあれ、ギリシアに壊滅させられたとする時代以降も、トロイには人が住み続け繁栄した。ここがついに放棄された理由は外部からの侵略ではなく、それまでは城の真下までに迫っていた海岸線が地殻変動によりはるか沖合に後退したからだという。トロイは海上交通の要衝であった。船からまき上げる
通行料こそが主要産業だったのである。
しかしトロイの木馬の伝説は、話としてはウマくできている。
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(イラスト・文: YOGI age71)