【ご注意】この記事は、2017年公開の『スターウォーズ エピソード8/最後のジェダイ』がどうしても好きになれない自称SWオールドファンである筆者が執筆したものです。同作に好意的な感想をお持ちの読者にとっては不快になる表現が多々登場いたしますが、本来、映画の感想など、個人それぞれ自由に持っていればいいものです。わざわざ分かっていて気分を害す必要もないと思いますので、今一度、続きをよむかどうか再考をお願い致します。
疲れているのは観客ではない
僕がお世話になっている(寄稿している)映画情報サイトTHE RIVERさんに、先日看過しがたい記事が掲載されていました。
記事のタイトルは【マーク・ハミル「スター・ウォーズ疲れはあり得る」 ─ 「彼らは私の考えを聞こうとしない」】。僕の見解とTHE RIVERさんは関係がなく、あえて直リンクはしませんので、ご興味のある方はコピーして検索してお読みいただきたいのですが、記事を要約するとこうです。
『最後のジェダイ』から半年ほどのスパンで公開となった『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』(2018)は、親会社ディズニーの思惑に反して興行的にパッとしませんでした。製作費2億7500万ドルに対して興収は3億9300万ドル。莫大なプロモーション費のことを考えれば、ハッキリ失敗と言える結果です。
で、なぜこんなことになったのか、数々の分析がなされましたが、中でもさもありなんと言われた理由が、表題にある「観客のスターウォーズ疲れ」です。曰く、2015年12月の『エピソード7/フォースの覚醒』以降、翌2016年12月には『ローグワン』、さらに翌年の2017年12月に『エピソード8/最後のジェダイ』、そして2018年5月(日本は6月)に『ハン・ソロ』と、スターウォーズ関連映画が矢継ぎ早に製作・公開されたせいで、観客が「ちょっと飽きて」しまったのではないか、というわけです。
この分析をディズニーや現ルーカスフィルムが真に受けたのか定かではありませんが、実際『ハン・ソロ』以降、製作サイドは次々につくる予定であったスピンオフや新シリーズの進行をスローダウンしたり、企画自体を凍結したりしています。
で、先日(2019年4月)米誌のインタビューを受けたマーク・ハミルが、「スターウォーズ疲れがあり得るかと言われればあり得るでしょう。私にも(そういったことに)経験があるが、彼ら(製作側)は私の意見など聞かないでしょう。誰が聞くっていうんです?」という主旨の発言をしたってわけです。(記事の内容はここまで)
もしも製作してる側が、観客が『ハン・ソロ』を観に行かなかった理由を、映画を短期間にたくさん作り過ぎたため、とちょっとでも思っているなら、はっきりさせておきましょう。僕はSWファンの代表でも何でもありませんが、そんなおためごかしを見逃すわけにはいきません。
最大の原因は『エピソード8/最後のジェダイ』が、ファンの期待をとんでもなく裏切ったこと。
そしてもうひとつは『ハン・ソロ』の出来が凡庸で聞こえてくる口コミがパッとしなかったこと。
以上です。それ以外に何があるっていうんですか?
誤解しないで頂きたいのは、僕はマーク・ハミルの発言そのものを批判しているわけではありません。『最後のジェダイ』のルーク・スカイウォーカーの扱いをめぐって、当時彼が非常に苦しい立場に立たされていたことは知っていますし、この発言も結局、僕があげたような元も子もない理由を「中の人」として立場上言えないだけだと思っています。
1年に1度、もしくは半年に1度のペースで自分が愛するシリーズが公開されたぐらいで「飽きて」しまう観客などいません。そんなこと言ったらマーベルやDCなどのアメコミ映画が新作の度に興収を伸ばしているのはどう説明します?あちらは年に3本のペースですよ。それに、親会社ディズニーの真骨頂、ピクサー製作とかのCGアニメだって毎年公開して毎回絶好調じゃないですか。
35年以上の長きに渡ってスターウォーズを支持してきた人間でさえ、同コンテンツへの興味の持続を非常に困難に感じさせてしまった『エピソード8』。
公開から時間が経った今、皮肉ではなく非常に珍しい、映画史に残る映画という見方もできますが、スターウォーズ離れが起こっているのは観客が疲れているからではありません。『ハン・ソロ』のやっつけ仕事ぶりを見るに疲れているのはむしろ製作側でしょう。
観客は現製作陣によるスターウォーズに期待していない、このことに目を背けないでほしいです。