大々的な広告展開
近年公開された長編アニメーション映画の中で、この「スパイダー
こうなってくるとですね、昨年の「ヴェノム」ポストクレジットシ
ちょっとでも気に入らないことがあったらそこばっかり指
鑑賞を終えて
で、実際観てどうだったかといいますとね。なんてことはない、最高のスパイダーマン映画でした。
ストーリーについてはジェットコースター的展開の読めなさも本作の魅力の一つだと思うので、詳しい流れを書くのはやめておきますが、個人的にスパイダーマンというと、少年もしくは青年のほろ苦青春ストーリーが古くからコミックでも映画でも定番なんで、主人公がマイルズ・モラレス(コミック登場時ピーターより若い設定)である以上、本作もその類であろうと勝手に予測していました。
まあ実際それはその通りだったのですが、本作は、ある登場人物や、主人公の親たちの、「若者たちの成長を見守る視点」がふんだんに含まれていて、そのある登場人物と同世代、彼同様まさに「中年の危機」真っ只中にいる身としましては、他人事とは思えない没入感で、終盤のクライマックス、映画のキャラクターと完全に気持ちをひとつに「行け、モラレス」と呟いてしまいました。元も子ない言い方すると映画版クレヨンしんちゃん的な、親子二代でも心から楽しめるつくりです。※ご覧になりさえすれば共感して頂けると思います。
人間の「視覚」を考え抜いている
本作のアニメーション技法、なんでも特許出願中だそうでパンフレットをつぶさに読んでも具体的な技術については匂わされてはいるものの詳しく書いていないのですが、素人目にも様々な工夫が凝らされていることは判ります。セリフの吹き出しや、画面のコマ割り、CGでモデリングしたキャラクターにペン入れ?のようなもの施したコミック由来の技法も非常に面白いのですが、それより何より素晴らしいのが、移動する光を駆使した夜のニューヨークの景観表現です。
普段生活していて、雨がやんだ後の夜の都会がなぜだか妙に美しいと思うことありませんか?
あれは街中に塗布された水滴が光を乱反射しているためです。推測するに、『スパイダーバース』は、それと似た効果を狙った手法が使われています。おそらくは画面を色彩ごとに複数のレイヤーにして、その中の一番上を少しずらし、わざと印刷用語でいうところの「版ずれ」を起こすことで、肉眼で見ているのと同じ「滲み効果」を出して、これまでのCGアニメにはない質感や立体感を出すことに成功しています。マイルスがスイングする街の夜景はもちろん、特に電車が登場する場面で特にそれを見てとることができます。
総じて、ストーリーよし、キャラクターよし、世界観よし、で文句をつけるところが何もない、巷の絶賛も納得の一本でした。ひとつ、完全に余談ですが、このレビュー用に描いたイラスト。フィギュアコレクターとして外せない、お気に入りのスパイダーマン2099ことミゲル・オハラなんですが、鑑賞前に描いたものです。どうせ文句つけるところなんて殆どないんだろうから、「こいつが出てなかった!」っていうイチャモンでお茶を濁そうと思っていたのです。結果はまあ、ご覧になった方なら判りますよね。素直に東映版の方を用意しておけば良かったです。
総評:95点(続編早く作ってくれるなら100点)